ねこ【爆豪勝己】 (ページ14)

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ホットミルクページ14

思わず立ち止まった

ゆっくり後ろを振り返る

「…独り言だと思って、聞いてね」

震える声で言うから、思わず無言で頷いた

「治癒個性って珍しいんだよね

私の家、代々続く治癒個性の一族みたいな感じでさ

昔から決まった相手の人と結婚するの

それで、治癒個性の純血を守ってるんだ

それでも私の両親は仲がすごくよくて、弟と私もすごく仲良くて

でもね、狙われちゃったの、3年前の今日

その日は私、中学の委員会で居残りしてて

先に家に帰ってたママとパパと弟が、治癒個性だからって物珍しさに敵が家に乗り込んできて

…私の一族の掟は、利用される前に死ぬこと

私以外のみんなで心中しちゃった」

キュッと制服にシワを作る

俺はそのシワを黙って見つめることしか出来なかった

「通夜もお葬式も、ぜんっぜん泣けなくて

毎日楽しかった学校も全然楽しくなかったの

みんなその事件知ってるから、逆に距離出来ちゃうし

もーーーいいや！自分も死んじゃおう！ってある日思ったんだけど

飛び降りようとした時にね、後ろからえいちゃんが泣きながら追っかけてきて

絶対怖いのにボロボロ泣きながらフェンス超えて手引っ張ってきて

それ見たらなんかおかしくって、まだ必要としてくれる人がいるんだなあって

私みたいな人に、生きる意味を教えてあげられるヒーローになりたいなあって思ったんだ」

無理して笑う癒河の頬に手を伸ばして抓った

「いた、」

爆豪「痛いか」

「痛いに決まってるじゃん」

爆豪「じゃあ泣けよ」

「え…？」

爆豪「無理して笑う必要ねえだろ、俺しかいねえんだから」

ポン、と頭を撫でる

癒河はプツンと糸が切れたように泣いた

大粒の涙を流す癒河の手を引いて、寮へ戻る

葉隠「え、どしたのAちゃん！！？」

上鳴「爆豪に泣かされた？！」

爆豪「うるせえぞアホ面！！！」

そのままリビングの椅子に座らせ、涙でグシャグシャになった顔をティッシュで思いっきり拭く

「い"だい"！！！」

爆豪「これで拭いとけ」

荷物を椅子においてリビングへ入る

コトン、と癒河の前にコップを置いた

「ホット、ミルク…」

爆豪「飲め」

「…おいしい、はちみつ入ってる、」

満足気に頬を緩ます癒河を見つめる

「爆豪、くんは…お日様みたいに笑うんだね」

爆豪「ア？」

「今、暖かい笑顔だったから」

ニコ、と笑う癒河に少し胸が跳ねた