体温に解けた ページ6
赤葦｢はい、ホットココア｣
｢…いらない｣
赤葦｢わがまま、じゃあ俺が飲むよ？｣
｢お好きにどうぞ｣
無言で隣に座ってカンっと蓋を開けた
ホカホカと湯気が出ているのを見ていたら口許に持ってこられた
赤葦｢美味しいよ｣
｢…甘いね｣
赤葦｢暖かいからいいじゃん｣
暖かくない、全然暖かくないよ
少なくとも私には
｢…やっぱり京治にはもっと別の人がいいと思う、私なんかよりずっと可愛くて素直な人｣
赤葦｢それはAが元彼を忘れられないから？｣
｢……違うよ｣
赤葦｢ふふ、そっか。でも俺はAが好き。
Aの過去とか関係無しに、俺が全部守るから｣
だから、そばにいて
ゆっくりと頬を撫でられて、それから唇が重なる
｢…言い過ぎた、ごめん。｣
赤葦｢いいよ。もう帰ろうか｣
｢うん｣
大きくて綺麗な手に包まれてゆっくりと歩く
赤葦｢あ、雪降ってきた｣
｢ほんとだ、ホワイトクリスマスやね｣
赤葦｢そうだね｣
ゆっくりと落ちてくる雪を掌で捕まえる
じんわり、と雪が体温に解けた
.
『有馬A、ちょっと来いよ』
ガンッと教室の扉を蹴った音が響く
朝のSHR前でザワザワとしていた教室が一気に静まり返った
数人の女子が後ろ扉の前で私を睨んでいる
紗里｢ちょっとA、何やらかしたの｣
｢分かんない、全くもって身に覚えが無いんだよね｣
まあ行ってくるね、と朝ごはんのいちごミルクの紙パックを持ったままその人たちの元へ行った
｢なんですか？｣
『移動するのもめんどいからここで言うわ
梟谷の赤葦くんと付き合ってるんだって？』
｢はあ｣
『この子、赤葦くんと付き合ってるらしいんだけど、どういうことが説明してくれる？』
主犯格のリーダーみたいな人が真ん中にいる人の腕を引っ張って前に出す
私より少し身長が高い、ふわふわした感じ
佳奈｢かっ、佳奈の赤葦くん返してよ！｣
｢…いや、物じゃなくね｣
佳奈｢うるさい！ずっと好きだったのに…！｣
｢…すみません｣
ペコリ、と頭を下げて踵を返した
と同時に腕が掴まれる
『オイオイ、まだ話終わってないから！次はお姉さんと話そうね』
ガシッと腕が首の後ろを回ってきて完全にホールドされた
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作者名：イオリ | 作成日時：2020年8月12日 23時
