あつむ ページ41
グイッと強い力で腕を引っ張られて、そのまま胸の中にポスンッと収まる
そのままぎゅうっと抱きしめられた
運転手「どこ目着いとんや!!!危ないやろが!!!」
侑「すんません!!!!」
ギュッとまた力が強くなる
そのままトラックはどこかへ行って、侑の頭が私のマフラーに顔を埋めた
「あつ、」
侑「お前ほんまどこ見てあるいとんの!!!??1歩遅かったら死んでたかもしれんのんやで!!!」
肩をガシッと掴まれて、大きな声で怒鳴られる
ビクッと肩がはねた
「ご、ごめんなさ、」
怖い、じんわり涙が溜まってゆっくりと体が震えた
本当に怖かった、死ぬかと思った
侑「ほんま、ほんまにやめてや……もうこれ以上失いたくないんやって、」
ギュッと私を抱きしめる力が強くなって、侑の声が段々涙声へと変わっていく
「え、なんで泣いて___」
侑「好きや」
ポツリ、侑が呟いた
その瞬間周りの音が一切聞こえなくなったように頭が真っ白になった
侑「好き、ほんまに好きや。どうしたらいいか分からんくらい、記憶が無い時もずっと、」
「っ、まって、侑、もしかして記憶、」
侑「まだ、断片的やけどな…ちょっとずつ、思い出してん」
ゆっくりと私から離れて、まっすぐ目を見つめる
柄にもなく侑はボロボロと泣いていた
侑「…俺も大概や、俺の中の知らん俺もお前のことが好きで仕方ないらしいわ」
ボロボロと泣きながら笑う侑に私の視界もボヤける
やめてよ、私決めたんだよ
あの夜、もう侑と離れるって決めたのに
「っ、なんでそうやって、離れさせてくれないの…?」
侑「離れたくないくせに嘘言うなやドアホ」
「うっさいばか」
侑の手が後頭部に回ってきて優しく引き寄せられる
その手は僅かに震えていて、突き放したかったら突き放せるように
強引な彼には不似合いな優しい温もりで私を包んだ
「…ほんと、ばか」
_______
侑「ほんっま…心臓小さなったで」
ほんまやめてや…と弱々しく私の頭を抱き寄せてポンポンと後頭部を撫でられる
「…なんでこんなとこにいたの?」
侑「…話したいことあって、家に行ったんやけど。おらんかったからここに来てみた」
そしたらおったけど引かれそうになってるし、人生で1番心臓縮んだかと思ったわほんまって息をはあっと吐く侑が可愛くて
すごい心配してくれたんだな、と思わず笑ってしまった
侑「…何笑ってんねん」
「ん?ううん、ほんとありがとう」
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作者名:イオリ | 作成日時:2020年8月12日 23時