二年後 ページ5
『もしもし?Aいまどこー?』
「たった今彼氏と別れて傷心してる」
『アホすぎーん?今合コンしてるけど来る?』
「え、行くー」
プツン、と電話を切ってマフラーに顔を埋めた
あれから2年
4月には着心地の悪かった制服も随分と着慣れてきた井闥山学園の制服
中学三年生の春、ストレスで心身共に疲れ果てた私を見兼ねた母が東京にあるおばあちゃんの家へ連れていった
療養とか言って、遊びまくってるだけなんだけど
佐久早「…A?」
「あれ、臣。何してんの?」
佐久早「何って部活帰りだけど…お前は?」
「デートだったけど別れた、午前中は赤点の補習」
佐久早「…」
「ちょっと、なんでそんな睨むんよ」
佐久早「近寄るな」
「ひっど」
拳で軽く肩を小突もっと眉間に皺が寄る
それが面白くて、バシバシと背中を叩く
古森「ちょっと〜あんまり佐久早虐めないであげて!」
「あ、古森くん」
佐久早「やめろ、痛ぇ」
「ごめんって」
私が叩く手を止めた隙に臣は古森くんの横に並ぶ
古森「有馬さんはどっか行くの?」
「今から合コン」
古森「あれ、赤葦くんとは?」
「今さっきそこで______」
赤葦「A」
「…京治、」
赤葦「何勝手にどっか行くの、ほら行くよ」
「もう別れたじゃん、ほっといて」
赤葦「…あれ本気だったの?」
「本気だよ」
赤葦「…納得いかないから、ちゃんと話そう
巻き込んでごめんね2人とも、それじゃ」
「うわ痛いー!離せー!」
ガシッと首に腕を巻き付けられてズルズルと無理やり引きずられる
遠くから見た古森くんは笑って臣の背中を叩いていた
…いやしっかり古森くんも叩いてるやん
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作者名:イオリ | 作成日時:2020年8月12日 23時