最後のいちぺーじ【 HQ 】 (ページ40)

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イルミネーションページ40

「メリークリスマス！お母さん！」

じゃーん！とお母さんの机にケーキを取り出す

母「何これすご！！！！あんたが作ったん？？」

「そう！食べよ食べよ～」

綺麗に取り分けて、2人で手を合わせて

いただきます！と1口食べた

母「ん～～～！！おいしい！」

「我ながらむっちゃ出来良い…」

母「美味しいなあ！」

勉強したくないだとか、来年はおばあちゃんの家に行こうねとか、他愛もない話をしながらケーキを食べ終わる

残ったケーキを片付けてお母さんの近くの冷蔵庫に入れた

母「懐かしいなあ、ケーキ作ってる時、砂糖と塩間違えて全然クリーム出来んかったの」

「ちょ、なんで覚えてるん！恥ずかしいやん」

母「大きくなったんやなあって」

コーヒーを飲みながら、お母さんは私の頬を撫でた

母「沢山しんどかったやろうし、あんまり一緒におってあげれんくってごめんな」

「…ううん、いいよ。」

母「外暗いし、気をつけて帰るんよ」

「わかった、また来るね」

母「うん！」

じゃあね！と手を振って病院の外に出る
未練がましいけど、あの時のマフラーに顔を埋めて空を見上げればゆっくり雪が降ってきていた

…さむ、はやく帰ろう

耳にイヤホンを突っ込んで、ぼんやり夜の道を歩く

あの日も、こんなクリスマスだったなあ

病院の帰りに、歩く度にズキズキ痛む心臓を抑えながら泣くのを我慢して家に帰ったっけ

楽しかった？って笑顔で聞くお母さんの目の前で崩れ落ちて泣いたんだよね

もし、あの時、侑が事故らずに来れていたら
今もまだ私は侑と付き合っていたのかなあ

「……あれ、」

あれ、なんでここに来てるんだろう

ゆっくりと顔を見上げれば、そこはあの時見る予定だったイルミネーションが広がっていた

幸せそうなカップルや家族で溢れていて、不幸なんて言葉を知らなさそうな世界

…無意識に来ちゃってるとか、未練がましいかよ自分

はあ、とため息をついて来た道を戻ろうと振り向いた

「危ない！！」

「っえ、」

後ろから突然声がして、ゆっくり横を向く

凍結した道路に、止まらないトラック

アクション映画で、今の絶対避けれたでしょって場面を思い出す

あ、ホントだ、こういう時全く体が動かないんだ

キキーッ！と激しく鳴るブレーキ音にゆっくりと目を閉じた

侑「A！！！！」

「え、」