帰りたい ページ34
治「…そ、なんや」
角名「…ねえ、さっきの話って、本当なの？」
事故らせてってやつ、と角名が気まずそうに呟く
治「ちがう、本当やけど、違う。あの日はほんまに、Aちゃんは何も悪くないんやって」
言うてんのに、1人でずっと責めとって…と段々と声が小さくなっていく
治「あの日は、大会前で練習が長くなって。
久々にクリスマスデートするんやけど時間が間に合わんって侑が勢いよく飛び出してって…俺は大人しく家に帰ったらオカンが電話耳に当てたまま泣き崩れとってな。
侑が待ってた横断歩道に、氷でタイヤ滑らしたトラックが突っ込んできてん。」
赤葦「…それで責任感じてるのか。」
治「Aちゃんに関する記憶だけ、全部ないんや。
今までオカンと、侑の前でAちゃんの話はせんって約束しとったけど、もうバレたし隠しても意味ないからな。
さっきみたいに、変な誤解を抱いた人達がAちゃんを虐めて、転校してった」
侑「…なんか、頭、痛いんやけど」
きっと頭の中、ぐるぐるなんだろうな
考えることたくさんでいっぱいいっぱいって顔してる
そりゃそうだろう、何も知らない人が急に元カノだって明かされたんだから
赤葦「…やっぱり、敵わなかったな」
侑「は？」
赤葦「付き合う前も、付き合ってた時もずっと、Aは宮侑のことが好きだったよ
俺が頑張って忘れさせようって思ったけど、無理なくらい」
侑「…」
治「お前もいい加減、目ェ覚ませや。
無理に思い出さんでいいけど、見るもんちゃんと見ろ。」
侑「……おん」
いつもみたいな迷いのない返事では無くて、か細い小さな声で宮侑は頷いた
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
知られちゃった、なんで、最悪、どうしよう
ぐるぐるぐるぐる頭が回って気持ちが悪い
臣「A」
ポン、と肩に少し重みが乗る
ゆっくり振り向けば、走って追いついて来た臣が少し肩で息をしていた
その姿に、じんわりと涙が浮かんだ
「臣、臣どうしよ、」
臣「うん」
ゆっくりと頭を胸板に引き寄せられる
優しい温もりと、穏やかな心音に安心して涙が溢れた
「も、しんどい、東京に帰りたい、」
誰もいないところで、ゆっくり過ごしたい
臣「…うん」
そうだな、と優しく私の頭を撫でる臣にひっついて
声を上げて泣いた
＿＿＿＿
お久しぶりですめちゃくちゃ詰め込みました
どうしても続編に行きたくないですもう少しで終わります
がんb
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作者名：イオリ | 作成日時：2020年8月12日 23時
