東京 ページ29
「おばあちゃ〜〜〜〜〜〜〜ん！！！！！ただいま！！！！！！」
ドタドタと家に入り込んで、ガチャンとドアを開ける
婆「あんたはもうちょっと静かに入って来れんのかね〜」
臣「震度7だな」
「なんで臣がいるんだよばか」
私とおばあちゃんの感動の再会は！！！と嘆けばスタスタとこちらに近づいて来た臣が頭に手を置いた
臣「おかえり」
「…ただいま」
この安心感がなんとも言えない気持ちで擽られる
ああ、こうやってずっと臣とおばあちゃんと私で暮らしたかったな
婆「明日臣くん決勝だから梅ご飯作ってみたんよ」
今日も食べてくやろ？とおばあちゃんがニコニコ笑顔で聞くと臣は頷く
もう定位置となった臣の席の向かい側に私が座って手を合わせた
臣「お前なんで帰ってきたの？」
「お母さんの体調だいぶ良くなったから久しぶりに行っておいでって。
明日井闥山と稲荷崎だし、応援来てって言われてんだよね」
臣「……宮侑？」
「ううん、角名って人」
臣「MBか」
「有名なの？」
臣「体幹が気持ちわりい」
「臣の関節も気持ち悪いじゃん」
臣「うるせえ」
婆「ふふ、」
口元に手を当てて、嬉しそうに目を細めるおばあちゃん
「…どうしたの、笑って」
婆「いやあ、懐かしいなって思ってね
あなた達ずっと仲良しなんだから」
臣「…これが仲良しに見えんのか」
「ウチらマブだもんね」
臣「…」
「え、無視？」
婆「…臣くん、Aちゃんをよろしくね」
「………えっ嫌だよ」
臣「俺が嫌だ」
「どういうこと？？」
婆「ふふ、ほんと
おばあちゃんはお似合いやと思うけどねえ」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「はい、ココア」
臣「俺コーヒーがいいんだけど」
「明日試合なのに寝れなくなるでしょうが」
大人しく飲めよ、と無理やり持たせる
眉間にシワを寄せたあと、ちびちび飲み始めたのを見て私をマグカップに口をつけた
おばあちゃんは寝て、夜の22時のベランダ
昔、小さい時に臣が不安で眠れない時によくこうやって2人で夜空を眺めていた
試合の前とか、飼っていたペットが亡くなった時とか、人肌恋しい時とか
おばあちゃん家に帰る度に臣に会えるのを1番楽しみにしていたなあ
「…明日、頑張ってね」
臣「…明日は稲荷崎の応援なんだろ」
「え〜？一般客だから井闥山応援するよ」
臣「…ふーん」
コテン、と肩が少し重くなった
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作者名：イオリ | 作成日時：2020年8月12日 23時
