ホワイトクリスマス ページ3
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「え?遅くなる?」
侑「今からバス乗るんやけどな、今さっき部活終わったばっかやねん」
ほんまごめん!と電話越しに大声で謝る侑
…最近忙しそうだもんな、部活
仕方ないけど、私よりも部活が優先されるのがちょっとだけ悔しい
「はやく来ないと帰っちゃうから」
侑「マジで?!走るわ!ちゃんとおれよ!」
慌てたようにプツンと切れた電話に思わず笑みがこぼれる
そろそろ大きい大会があるらしく、毎日ハードな部活に励んでいるから疲れてるはずなのに私の嬉しいことをきちんとしてくれる大好きな彼氏だ
帰る訳無いのに可愛いなぁ、ほんと
はやくあいたいな
.
「侑遅いなぁ」
ちょっと早めにプレゼントしたお揃いのマフラーをつけて、冷えた指先を温めるように息を吹きかける
あの電話から1時間くらい経っただろうか
中学校からここまで電車で30分ぐらいだから混んでる以外はそんなに時間はかからないはずだ
混んでたらメールが来るだろうし、何かあったのかな
「……雪」
寒い夜にゆっくりと降る雪
手で捕まえようとして、地面に落ちる前に手のひらを広げる
ゆっくりと手のひらにおちて、じんわりと溶けた
治「Aちゃん!」
「…治くん?」
手のひらでじんわりと溶けた雪を見つめていると、正面から大声で治くんが走ってきた
私の目の前で止まると膝に手を着いて、呼吸を整える
なんで侑じゃないの?
侑は?
ゴクリと生唾を飲んで顔を上げた治くんが口を開く
治「_____侑が横断歩道でトラックに突っ込まれて、今手術してる」
ゴトン、と手に持っていたケーキが地面に落ちた
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作者名:イオリ | 作成日時:2020年8月12日 23時