にねんにくみ ページ13
｢お母さん、行ってくるね｣
母｢気をつけるんよ〜｣
｢うん！帰りは寄るから｣
じゃあね、と電話を切って新しいブレザーのポッケに携帯を入れた
胸元までのロングを緩く巻いて、お気に入りのリップをつけて
新しい生活にドキドキと胸を高鳴らせてドアを開けた
.
倫と二人で歩いた道のりを忘れないように…とグーグルマップで登録しておいたけど、必要が無いくらい稲荷崎の人が登校している
新一年生は明日からだから…この人たち全部2年生か3年生なのかあ
角名｢あ、A。おはよ｣
｢倫、おはよう｣
ポン、と肩を叩かれて後ろを振り向く
おはよ、と控えめに片手を上げる倫がいた
角名｢…なんか前と顔変わった？｣
｢髪下ろしてるからかな｣
角名｢いいね、可愛い｣
｢あはは、褒めても何も出ないけど｣
角名｢なにそれ、何も期待してないし｣
不機嫌そうに顔をしかめる角名と顔を見合わせて思わず吹き出す
｢ぶっ、あはは、何その顔、｣
角名｢…そんな笑う？｣
｢ごめ、あは、お腹痛い！｣
角名｢なんなのまじで…うわ、めちゃくちゃ人いる｣
｢うわあ、すごいね｣
玄関前の掲示板に人という人が群がっていた
｢倫見てきてよ｣
角名｢え〜〜〜いいよ｣
｢何だったの最初の迷い｣
倫が群に突っ込み、それを近くで見守る
がんばれ、倫
角名｢A、2年2組だって、俺の隣｣
｢離れちゃったのか〜、残念｣
教室まで適当に駄弁って、扉の前に辿り着いた
角名｢…ねえ、部活入んないの？｣
｢うーん、バイトあるし｣
角名｢ふーん｣
じゃ、と手を上げて隣のクラスに入った倫を見届けて教室へ入った
教室は既に賑わっていて、私が入るとシーンと静まる
…そりゃそうだよな、見た事ない人だもん、うん
黒板に貼ってある座席表を見て、席へと座る
苗字が有馬の私はずっと一番前だ
前まで嫌だったけど、今この後ろを見辛い状況で前なのは助かるな
ピコン、とブレザーのスマホが鳴った
佐久早 "どこの学校行くんだよ、聞いてねえ"
臣からLINEだ、珍しいなあ
A “稲荷崎だよ”
送った瞬間つく既読
佐久早 “は？お前その学校＿＿＿＿＿＿”
先生｢はいきりーつ、礼｣
｢うわ、あぶね、｣
見かけたままポケットに携帯を突っ込んだ
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作者名：イオリ | 作成日時：2020年8月12日 23時
