2年ぶり ページ11
あっという間だった
つい何ヶ月か前まで、臣とお婆ちゃんと3人で食べたシチューが恋しい
婆「お母さんがな、働すぎで倒れたんだって。
はやく退院出来たらいいけど、それと同時に病気も見つかったらしくてな。
その間、兵庫の家に住む人がおらんのと着替えとかを支えてあげれる人がいないから
お母さんと話し合った結果、申し訳ないけど戻ってきてもらおうかってなったんよ」
ごめんな、と申し訳なさそうに頭を下げるお婆ちゃんに顔を上げて、とスプーンを置いた
「私がお母さんとおばあちゃんに支えてもらったから今の私がおる。
今度は私が支える番やんな」
佐久早「A…」
「臣も寂しくなるやん〜〜?可愛い可愛いAちゃんがおらんくなるね」
佐久早「可愛いは余計だろ」
「は?……まあ、お婆ちゃん頼むね」
佐久早「ん」
あれから3ヶ月前後
もうポカポカ暖かい季節になり、2年生に進級すると共に私は兵庫へ帰った
「お母さん、元気?」
母「A…ごめんなぁ」
「なんで謝るん?何も悪くないやろ。」
私を見てぐすぐすと泣き始めたお母さんの頭をポンポンと撫でた
母「ふふ…それにしても見ないうちにすっかり変わったな」
「可愛くなった?」
母「それはどうやろ」
「ちょっと」
そこはお世辞でも可愛いって言ってよ!と言えば嬉しそうに笑って「かわいいよ」って言ってくれた
懐かしいな、この感じ
お母さんには苦しい思いたくさんさせてしまったから、今度はわたしが支えないと
「…よし、私転校手続きしてくるから」
母「…ねえ、大丈夫?なんて名前のところだっけ」
「稲荷崎だよ、井闥山の先生が家から近いし偏差値同じぐらいだからって選んでくれたの」
母「そうやけどさ…ほら、前の中学の子とかおらんのんかな?」
「いないでしょ、お母さん家引っ越したんだから、わざわざこんな遠いところに通う人なんていないって」
母「…そうやんな!よし!行ってらっしゃい!」
「うん、また明日来るね」
バイバイ、と手を振って病室を出る
ゆっくりとドアを閉めて、その場にしゃがみこんだ
ドアノブを持ったまま震える手を抑えるようにギュッと力を入れる
大丈夫、大丈夫
もうあの時の中学の人はいないし、侑も治くんもわざわざこんな遠い場所来ないはず
?「…あの、大丈夫ですか?」
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作者名:イオリ | 作成日時:2020年8月12日 23時