14話 ページ14
増田side:
あれから、Aは今まで以上に練習して、今まで以上に色々なものを話さなくなった。それもライブが近くて緊張してるのかなって思った。明日からライブが始まる。
黄色の歓声と眩しく光るライトを浴びながらステージに立つ。小山がAを紹介すると明らかに声は
消えた。
これが今の現状。それでもAは笑顔で
A:「よろしくお願いします」と言う。
全公演のライブが終わるまでどこだとしても同じだった。
それから、音楽番組とかバラエティとかでも出ていくけど、無理をしてるようにしか見えなかった。Aだけ、現場が一緒の時に
「ねぇ、ココ最近無理してない?大丈夫?」
A:「大丈夫です。ありがとうございます。」
…A:「頑張らないと、、、。」ボソッ
この子の言う「頑張らないと」がこの子を苦しめてることにこの時気付いた。なのに俺は、気付かないフリをして
「そっか。頑張れ。」
そう言ってしまった。この時、「頑張るのを休めば?」そう言えてれば壊れなかったのかな…。
俺はあとから後悔するなんてことさえ知らず、スタッフさんの「よろしくお願いします」を合図にスタジオへAと向かった。
数日後、今日は今度出演させてもらう音楽番組のリハをいつものスタジオで練習する。いつもなら30分前に入るんだけど、前にも後にも今日の仕事はこれだけで洋服もこの前見に行ったから行く気にならなくて1時間半前に入った。当然1番かと思いきや、学校が休みだったAの姿があった。すでに汗を流してるから、俺よりも30分は前に入ってるのは確か。ずっと踊ってる。それからシゲが来たちょっと後に、俺とシゲが来てたことに気付いたらしくて、
A:「おはようございます」と言った。
「おはよ。集合まであと1時間あるから休みな?」
A:「いや、そういう訳には。ただでさえ、皆さんの足を引っ張ってるのに。」
加藤:「まだ時間あるから。休も。」
A:「じゃあ、ちょっと御手洗に行ってきます。」
財布だけ持って部屋を出た。
10分後…
加藤:「なあ、さすがに遅くね?」
「そうだよね。手分けして探すか。」
加藤:「おう。」
それで探してるんだけど、どこにもいない。まだトイレとか?そう思ってスタッフに探してもらったけど、いないらしくて。どこ行ったんだか…。と思ってたら、シゲからLINEが。
"Aが見つかった。スタジオに連れて帰る"
とりあえず一安心だけど、後で何してたか聞かないと。
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作者名:夢見 | 作成日時:2020年9月20日 11時