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「京治は紫陽花の花言葉を知っているかい?」
「いえ」
「紫陽花の花言葉は移り気や浮気など、とてもマイナスな意味なんだ」
でもね
「紫陽花は特殊で、色によっても花言葉が違うんだ」
例えば代表的な青は忍耐強い愛
ピンクは元気な女性
「随分と明るいですね」
「その通り」
そして
白は寛容
額紫陽花は謙虚
「・・・・・・寛容って、Aさんみたいですね」
「私はこの額紫陽花を見て京治を連想したよ」
京治は理解する
Aがこの2輪の花を見て微笑んだ理由を
Aが己のことを寛容と思っているのかは分からないが
多分、京治がそう考えることを予想したのだ
「俺と、Aさん」
そこには一体どんな意味があるのか
「微笑ましいね」
京治はこの時、
Aとの距離が更に縮んだことを確信した
「京治、顔が赤いよ?」
Aは不思議そうに京治の顔を覗き込む
「Aさんのせいです」
京治は颯爽とその場から立ち去る
顔を緩ませながら
「ち、ちょっと待ってくれ!」
Aは急いで京治の後に続く
「怒ってるのかい?」
「怒ってません」
「じゃあなんで急に冷たくなるんだ?」
「別に」
「嘘だっ」
Aの声は震えていた
そこで気付く
「Aさん!?」
京治は急いでAのもとへ駆け寄り
顔を覗き込む
「・・・・・・京治に楽しんでもらおうと思った」
「楽しみましたよ」
「・・・・・・でも急に・・・・・・」
冷たくなった
Aはボロボロと雨を流しながら言う
その姿は何処かまだ子供っぽさが見え隠れしていて
「・・・・・・京治?」
京治は抱き締める
愛おしいその彼女を
「反則ですよ」
京治はAの頬に伝う雫を拭き取る
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作者名:さやめめめめめ。 | 作成日時:2016年1月29日 20時