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一瞬
本当に妖精とか、精霊とか
そういう類のが降りてきたのかと思った
いや、比喩抜きで
「？ 京治、顔が赤いぞ？」
Aさんは黒髪黒目だが
それが余計に、可憐さを醸し出しているというか
紫陽花という背景が兎に角似合っていて
「････････････」
カシャッ
と、京治は無意識のうちにそれを機会の中に収めた
「って京治！ 何してるんだ！」
Aは慌てて京治の携帯を奪おうとする
だが身長という大きな壁が
それを阻止する
Aはそれでもピョンピョンと飛び
一生懸命空を掴む
「撮るなら紫陽花だけを撮れ！」
「嫌です」
「私なんかが写っていたら紫陽花が汚れる！」
「汚れません」
寧ろ紫陽花によってAがより美しく映える
なんて京治は思う
「それに、さっきの仕返しです」
京治はAに写真を撮られたことを言う
するとAはうぐぐ･･････と唸り出した
これでなんとか引いてくれるだろう
「･･････誰かに見せたりしたら絶交だからな」
「見せませんよ」
というか、見せたくありません
「なら、まぁ･･････今日の思い出というならいいが･･････」
Aはしぶしぶ折れ
改めて紫陽花を眺める
「･･････綺麗だろ？」
「はい」
視界は青、白、ピンクに埋め尽くされている
本当に綺麗だなぁ、と京治がしみじみ思っていると
「さぁ、行こうか」
と、Aが言い出した
京治は驚愕し、もう少しここにいたいと顔で訴える
「まぁついてきたまえ」
それにもかかわらず
Aはスタスタと歩いていってしまうから
京治は仕方なく、後ろ髪を引っ張られる思いで
白山神社を後にした
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作者名：さやめめめめめ。 | 作成日時：2016年1月29日 20時
