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一息ついた頃
「･･････私は、本当は不安だったんだ」
Aは己の思いの内を晒し始めた
「今まで京治ほど関係が長く続いた人は居なかった」
そういった人間関係を築のが難しかったというか
だいたいはAの話についていけず
離れていった
「だからと言っては可笑しいが、京治と数日会わなかっただけなのに、毎日どこか退屈で物足りなくなってしまってね」
Aは苦笑する
「･･････だから今日会えて、京治が普通に会話してくれたことに安堵を覚えた」
その言葉ひとつひとつは、京治の心に突き刺さる
俺のことばかり考えて
Aさんの気持ちは全く考えなかった
なんて最低なのだろう
謝らなくてはいけない
避けてしまったことを
Aを不安に追いやってしまったことを
だが
「･･････私の質問に答えてくれ」
Aがそれを、許してはくれなかった
京治は頷く
「また私の紅茶を飲んでくれるだろうか」
「･･････ぷっ」
つい吹き出してしまう
だって
その言葉がどれほど
Aらしい言葉か
この瞬間、京治の負の感情はどこかへ去っていった
「是非 また俺にAさんの紅茶を飲ませてください」
京治は笑顔で答える
またAも同じように笑をこぼし
「これをあげるよ」
そう言って渡されたのは、小さな鍵
「だいぶ前から渡そうとは思っていたんがね」
肩をくすめるAを見る
そして手に握られた鍵を見る
それはいったいどこの鍵なのか
言われなくてもわかる
「･･････いいんですか？」
「あ、これは他言無用だからね？」
バレたら怒られるどころの話ではない
「俺多分、明日から毎日行くと思います」
「そんなの、大歓迎に決まってるじゃないか」
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作者名：さやめめめめめ。 | 作成日時：2016年1月29日 20時
