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講義を全て終えた正午
予報通りに、空からは涙が降り注いでいた
だからといって気温が下がることはなく
湿気のせいで蒸し暑いくらいだ
京治は鞄から傘を取り出し
早々に大学を出る
因みに食堂には寄っていない
「・・・・・・スーパーでも寄るか」
丁度冷蔵庫の中が空になったところだ
数日分の食料を買おうと、京治はスーパーに向かう
京治は大学から一人暮らしを始めた
だから、料理も自分で作らなくてはいけないのだ
もうひとつ言っておくと、バイトもしている
「いらっしゃいませー」
スーパーに入れば、店員の明るい声に出迎えられる
中は外とは違い、かなり涼しい
京治はカゴを持ち、食品コーナーに向かう
買い物の基本は、品質よりも値段
あとは量
なるべく多くて、安いものをどんどんカゴに入れていく
すると
ふと
京治の目は、あるところで止まった
tea
そう書かれたパッケージがいくつも並ぶ
「紅茶、か」
普段家では水か、お茶しか飲まない京治
紅茶を飲むのは、あの部屋だけだった
「飲んでみるかな」
京治は一番安い紅茶をカゴに入れ
ようとした時
「おっと、その紅茶はオススメしないな」
後ろから声をかけられた
「値段も見ているのだろうが、こっちの方が味もいいし買う価値があると私は考えるよ」
そう言って渡されたのは
京治が手にした紅茶よりもほんの少し高いものだった
「ありがとうございます」
相手は、とても綺麗な黒髪の女性だった
「紅茶にはね、リラックス効果や、あとはストレス解消なんかにも効果的なんだ」
あれ
「あとは、ダイエットにも効果的だから女性には常に高い人気を誇っているね」
この感じ
「おっと、初対面の相手に馴れ馴れしかったね」
それじゃあ
と立ち去ろうとする女性の手を
京治は掴んだ
「・・・・・・やっぱり」
「あれ、なんだ京治じゃないか」
その女性は、Aだった
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作者名:さやめめめめめ。 | 作成日時:2016年1月29日 20時