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プロローグ ページ1
初夏
やっと慣れ始めた大学生活
友達もでき、授業の進み方も分かった
そんなある日
ある噂を耳にした
─北校舎のある部屋に人の心を読む妖怪がいる─
と
バカバカしい話だが、この噂はかなり有名らしい
その証拠に、北校舎に寄る者は少ない
殆ど使われていないという理由もあるが
友達にも
北校舎には行かない方がいい
と、本気で止められた
だが
「･･････けっこう暗いんだな」
赤葦京治は、好奇心に勝てず
放課後に北校舎に訪れた
そこは人気のない場所で、初夏だというのに
肌寒くもある
怖い
ということはないが
少し警戒しつつ、校舎内を見廻る
空き教室
空き教室
空き教室
あるのは空き教室のみ
一つの教室、いや倉庫のような小さな部屋を
除いては
何故ここだけ鍵がかかっているのだろうか
「珍しいな 客人だ」
不思議に思い、その部屋の前で佇んでいれば
後ろから声がかかった
最初は先生かと思った
が
客人という言い回しに引っかかった
「貴方は？」
振り返ればそこには
壁に寄りかかる少女がいた
「ここに来るのは大抵、信憑性の欠片もない噂を確かめに来る奴だけでね」
取り敢えずは、中で話そうか
そう言うと、少女は鍵のかかった部屋の鍵を持っていたのか
カチャリと音が鳴ったあとにササッと入っていってしまった
続けて京治も中に入れば
そこは倉庫とか学校とかそんなものは微塵も感じない
「名無しサークルへようこそ」
それが、京治とAの出会い
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作者名：さやめめめめめ。 | 作成日時：2016年1月29日 20時
