月が綺麗ですね (ページ6)

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眠ったままのAを
京治は仕方なく自宅に運ぶ
理由は、Aの家が鍵が閉まっており
その鍵がどこにあるのかわからないからだ

「･･････どんだけ寝るんだ、こいつは」

京治のベッドにAを寝かせ
シャワーを浴びることにする
もう長年の付き合いになると
自分の部屋に異性がいるからドキドキするなんてことはない
特にAの場合は、好きであっても
そういう性の感情は沸かない
幼馴染って結構怖い

「A、起きたの？」

シャワーが済んで、部屋に戻れば
Aの体制が先程とは違った

「･･････ん」

起きたばかりなのか
声がやけに小さい

「けーじ」

何？
とAの方へ行けば
ガシッと、腕を掴まれ
そして、起き上がる

「A、どうしたの？」
「ぎゅーしてぎゅー」

何でこんなに甘えてくるんだ？
とは思いつつも、素直にAを抱き締める

「･･････汗臭くない」
「シャワー浴びたから」
「いい匂い」

なんて鼻をスリスリさせてくる

「寝ぼけてるの？」
「んー」

返事は曖昧
何があったんだこいつに
ちょっとしたパニック

「おーい、起きてー」

京治はAの頬を抓る
うわっ、ブサイク

「いはいっ」
「寝ぼてけるAが悪い」

そこでやっと脳が覚醒したのか

「･･････私今、何してた？」

なんて聞いてくる

「甘えてきた」

それに、現在進行形で
Aは京治に抱きついている

「････････････」
「この間も思ったけど、Aってぎゅーって言うんだね」

そこでボッと音が鳴りそうな勢いで
Aの顔が赤くなる

「顔真っ赤」
「････････････うっさい」

恥ずかしいはずなのに

「いつまで抱き着いてるの？」

一向に手を離そうとしない彼女が
どうしようもなく愛おしく思えて

「はっ･･････！」

慌てて離そうとする彼女を
今度は自分から引き寄せる

「うそうそ俺は嬉しいよ」

Aとこうしていられることが

「･･････夢、見たんだ」
「どんな？」

それは小さい頃の記憶
Aと京治は仲良く遊んでいた
いつ、何処に行くにも一緒で
隣に京治がいない事なんて
想像がつかなかった
それなのに、京治はAの前から居なくなってしまった

「だから、行かせないように･･････離れないように･･････」

抱き締めてと要望したのは
そんなのが理由だったらしい

「･･････俺は多分、一生Aから離れないよ」