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今までも昼休みに招集はかかっていたが、ついに来週に迫った本番のために体育でもリレーの練習が始まった。
『俺ら3年はトリだからな。盛り上がるぞ〜』
と、夜久は気合い十分といった様子でグラウンドに向かう。
グラウンドに付くと、高瀬さんが体育座りをしてこちらの様子を見ていた。
「ぶはっ、なんでグラウンドのど真ん中で体育座り?」
『なんでだろーな、ほんと面白いよな高瀬さんって』
俺と夜久がそう言っているうちに、彼女はリレーでトラックを使うと察したのか端っこの方に避ける。
ひとまず事前に決めていた順番でそれぞれ位置につき、練習を始める。
第一走者はまずクラスのムードメーカーが、第二走者はメンタルが強くもし遅れをとっても巻き返してくれそうな夜久、その次に俺、そしてアンカーが一番足が速い奴ということになっている。
一度その流れで走ってみて、それから自分たちの走りを振り返る。
『黒尾、お前俺がバトン渡すとき手後ろにして前だけ見てろ。俺に合わせなくていい、お前が走ったら俺がお前の所までもってく』
「やっくん、惚れる…」
夜久の発言にメンバー全員が惚れ惚れしつつ、練習を再開する。
順番が来るまでの間にふとグラウンドを見渡すと、高瀬さんはトラックから離れたところでトラックと同じくらいの距離をひたすら走っていた。
頑張ってんなぁ。
そんな彼女を見て俺は世話を焼きたい衝動に駆られ、体育が終わったら自販機に向かおうと決めた。
「あー、もう何もしたくない…」
体育が終わり、俺は自販機に寄ってから教室に戻る。
教室に入るやいなや廊下側の一番前の席から声が聞こえた。
うつ伏せになっている彼女に話しかけようとすると、急に顔が上がった。
赤く火照った顔を見てすかさず先程買ったスポーツドリンクを頬に当てる。
白状しよう。俺は最近、普段男子とあまり関わることのない彼女が自分とは楽しそうに話してくれるということと、彼女が俺を必要以上に褒めてくれることもあり、調子に乗っていたのだ。
「Aサンや、頑張んのは偉いけどちゃんと水分摂んなさいね」
だからつい、名前で呼んでしまった。
急に顔にひんやりしたものが当たりびっくりしていたが、冷たいと言いながらそのまま顔を埋めるもんだから、この子は本当にずるい。
「ありがとうございます、キャプテン」
「君はいつからバレー部になったんだい」
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すめし(プロフ) - 黒瀬将哲さん» うわあ〜〜〜〜〜しばらく更新できてないのにも関わらず暖かいコメントありがとうございます(;;)(;;)そう言っていただけて嬉しいですありがとうございます!!!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: 3fd1cc3a0e (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬将哲(プロフ) - めっちゃ好きなんです。。。この作品!!!更新楽しみにしてるんで、無理しないように頑張ってください!! (2021年5月8日 18時) (レス) id: 933fb2550f (このIDを非表示/違反報告)
すめし(プロフ) - ぴよさん» ぴよさん!!またコメント頂けるなんて、嬉しくて泣きそうになりました…毎度暖かいお言葉ありがとうございます!!!これからも頑張れます〜〜〜(;;) (2021年3月27日 16時) (レス) id: 3fd1cc3a0e (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 2回目のコメント失礼します。投稿お疲れ様です。すめしさんのお話を見ていつも楽しませてもらってます...!!これからも応援してます!大好きです! (2021年3月27日 7時) (レス) id: ebdd1925d4 (このIDを非表示/違反報告)
すめし(プロフ) - たおさん» うわあ〜〜〜〜〜〜一番大事なところ間違えてましたご指摘ありがとうございます!!!!!!!!修正しました!!!!m(_ _)mそして嬉しいお言葉ありがとうございますそれを聞いて私が元気もらいました。。更新頑張ります!!!! (2021年2月19日 22時) (レス) id: 3fd1cc3a0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すめし | 作成日時:2021年1月15日 21時