隣の席のデカい人【黒尾鉄朗】

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｢よし、じゃあ今日はこんくらいで切り上げるぞ。寄り道しないでさっさと帰れよー｣




片付けが終わり、いつも通り研磨と一緒に部室を出ようとしたところで、明日提出の課題を教室に忘れたことに気づいた。


…多分また授業で当てられそうだし、やらなきゃマズイよな。




｢わり研磨、忘れ物したから先帰ってて｣



『…少しなら待ってるけど？』



｢いやお前、昨日またゲーム遅くまでやってただろ。早く帰って寝ろ｣



『なんで知ってるの…』



｢幼なじみの勘ってやつデスヨ｣




怖…と言いながら、研磨はすごすごと帰る。




…まぁ、嘘なんだけどな。実は俺も研磨に借りたゲームが面白くてつい遅くまで起きてて、そのときに研磨の部屋に明かりが付いてたから知ってるだけだ。




実はそのゲームはゲーム機本体と共に今俺の鞄に入っている。


バレたら没収されるし、さすがに学校ではやらねぇけど。



ラスボスがどうしても倒せなくて帰りに研磨に裏技でも聞こうと思って持ってきたが、まあ明日でもいいか。




そう思いながら教室のドアを開け電気をつけると、窓側の後ろの席に人がいた。



｢うおっ？！｣




自分の叫び声が廊下に響いたが、自分と教室にいる子以外は誰もいないから大丈夫だろう。



結構な大声を出したと思ったがぴくりともしないその子を不思議に思い、近くに寄る。



｢…寝てんのか？｣




しかもこの頭のフォルムとこの髪の匂いは、



｢高瀬さん、か｣




すやすやと眠る彼女に、俺は自分が着ていたブレザーを脱ぎ頭の下に敷いた。




さすがに起きるかと思い少し警戒したが、全く動く気配がない。よかった。







…頭上げるときちょっと寝顔見えたけど、まつげ長いな。髪も柔らかそ…





いややめろ俺、雑念は払うんだ。



そうだゲームをしよう、今なら周りに寝てる彼女以外誰もいないし大丈夫だろ。





…俺みたいに彼女の寝顔を見て邪な気持ちが沸き立つ輩がいるかもしれないし、見張っとこう。








それから30分くらいゲームをしていると、



｢…う、30分経った…？｣


高瀬さんが顔を上げた。




30分前って俺が教室に来たときと同じくらいか。


でも彼女の深い眠りからして俺が来た直前に寝たとは考えにくいし、





｢オジョーサン、一体いつから寝てたんだい｣

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