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試合はまさに 混沌 であった。
マップは聖心病院で、ハンターは美智子さんだった。手短な暗号機に近づき解読をしていると、どこからか心音が鳴り響く。
…ファーストチェイスは私か。
「あ、あともうちょい!あともうちょいだから待って美智子さん!」
「あらぁ、○○こんな所におったんやねえ…こちらとしても見逃す訳にはいかんからなぁ」
般若のお面を被り容赦なく攻撃してくる美智子さんを見て、ああ優しくしてくれないんだなと悟る。
「…こっちだって負ける訳にはいかないし!」
そこからは、かなりギリギリなチェイスが続いたと思う。『ハンターが近くにいる!』と信号を出すと、物凄い速さでイライから相棒が送られてきた。
…心配性やなこの野郎。
目指せ!暗号機5台分チェイス! の目標を胸の中に掲げ、板を倒したり乗り越えたり、体力の限界まで抗ってみたのだが。
「…はぁ、っ…はぁ…悔しいけど、もうここら辺でおしまいかな…」
イライから送られてきた相棒ももういなくなってしまったし、周辺にある板は全て倒したはず。
あと暗号機が2台も残っているのに、情けない話だ。
「じゃあ、抱っこさせていただきますわぁ」
容赦なく風船に繋がれ、抵抗はもののあえなくロケットチェアに座らせられる。
その瞬間、残り暗号機が1台になった。
ナワーブもイライもウィリアムも無理させてごめん…と心の中で謝罪をする。現実では絶対言ってやんない。
「よし、…このま、ま解読してくれたら…ッ痛」
チェイスをしてできた時の傷とロケットチェアのいばらが食い込む痛さが相まって、予想を上回るほどの痛みを感じる。
「こらこら、動いてたらほんまに死んでしまうで?もう静かにしとき」
なだめるような視線と声のトーンに少しだけ腹が立った私は、もうちょっと抗ってみることにした。
……とはいったものの、ここまで来てさすがに私を助けにくる馬鹿はいないだろう。
美智子さんはずぅーっとキャンプをして私の事をチラチラ見ては笑うので、きっと私が飛ぶまで見守っておく気がする。
その間に十分解読する時間はあるはずだ。
私は暗号解読や機械を触ることは結構得意としているのに、チェイスを受け持ってしまった。
ほんとの馬鹿は誰だ私ぃぃ!!!
「…ふふ、もう飛びますねえ。」
チラチラと私を見ながらたっぷりの皮肉を含ませていう美智子さん。
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めんへらうさぎ(プロフ) - 今日初めて読んだのですが、すっごく好きです……。奥手なナワーブくん可愛すぎるし、ちょいちょいとおちょくってくるイライくんも可愛かったです…!イソペも可愛くて、とてもいい作品をありがとうございました(><) (2019年7月16日 22時) (レス) id: 9158c232db (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - 名前変えても○○になってます… (2019年6月18日 21時) (レス) id: 1ac6299c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:5号機ちゃん | 作成日時:2019年6月14日 22時