２０話「若様、狙われる」 ページ27
「わ・・・DFの位置からボールを蹴るなんて・・！」
「やっぱり若様はすごいです！」
日本代表全員が、驚きと興奮が表情に表れている。改めて、少年がそれだけの大物だということが再確認できた瞬間であった。
・・・しかし、それを感じたのは日本だけではなかった。
「ちょっ・・あんなの聞いたことないぜ！」
「あの距離からシュートを打つなんて・・何者だ⁉」
ペクの仲間である二人の選手が、焦ったような声で詰め寄る。しかし、ペクはそれらとは対称的に、余裕の笑みを浮かべた。
「ふっ・・・それが剣 忠清なんだよ。攻撃も防御も完璧にこなし、ときには司令塔としても活躍する。奴に弱点なんてないんだよ。」
「そんな・・・」
ペクの言葉に、絶句するメンバー。一人は、もう諦めたように暗い表情になる。
「無理だ・・・打つ手なしなんじゃないか？」
弱々しい問いに、ペクは首を横に振る。
「いや・・まだ方法はあるさ。」
いくら若様でも、物理攻撃には避けられないだろう。素早く一定のテンポで動くペクたちは、誰であっても行動は読めやしない。
・・・まさか、俺が本気を出すとはな。
「やはりさすがは『天下の若様』だ。」
不敵な笑みを浮かべ、そう言うペクは、背後に邪悪ななにかを背負っていた。
ピピーッ！
韓国側に渡ったボールを、少年は容易に奪う。そのまま走り出そうとしたとき・・・少年の背後で影が動いた。
「っ⁉若様ッ‼」
皆が目を見開き、時雨が悲痛な叫びをあげる。少年の間近に韓国選手の一人が、迫ってきた。
その時。
『おっと』
それを読んでいたかのように、ひょいッと柔らかく体をひねり、少年はタックルを避けたのだ。
「なっ⁉」
・・・これには韓国側にも予想外だったようで。それでも諦めずに二人ががりで、少年にラフプレーを仕掛けようとした。
しかし、少年は身体中に目がついているのか、と思うくらい、足元、背中、ひざ、腹部、どこを狙われてもするりと避け、ボールをもてあそぶ。
「ふっ・・・すげえじゃねーか」
それには吉良も思わず感心し、そう呟いてしまう。
ラフプレーを意図も簡単に攻略し、韓国に負けず劣らずな、いやそれ以上の正確な方向、膨大な威力のシュート。そして、取ったボールは決して誰にも奪えない。
これが、『天下の若様』。
・・・こいつなら、協力してもいいかも。吉良はそう思ったのだった。
２１話「若様、勝利する」→←☆「若様はトマトが好き？そして風丸は察した」
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riko(プロフ) - 見てくれて、ほんとうにありがとうございます。頑張ります！ (2018年11月22日 5時) (
レス) id: 9c0b71dfd3 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - 主人公の名前、性格、設定すべて好みです！文章の書き方とかも丁寧で…とても面白かったです。続き楽しみにしてます。更新頑張ってくださいね！ (2018年11月22日 0時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：riko | 作成日時：2018年11月19日 20時
