１０話「若様は鈍感？」 ページ11
二人が合宿所に着き、手洗いをして食堂に行くと、もうマネージャーたちが料理を作り始めていて、選手もちらほらと起きてきたところだった。
杏奈がマネージャーの方を見ると、つくしがいち早く気づき、駆け寄ってくる。
「あ、杏奈ちゃん！帰ってき・・・」
そう言いかけて杏奈の後ろにいたから気づかなかったのか、少年を見て固まった。
『では、また夜にな』
「はい。」
少年は夜にジョギングに行くことを言ったのだが、夜、という意味深なキーワードと、少し頬を赤くした杏奈の表情を見て、ますます驚きで固まってしまう。
そんなことは露知らず、少年は基山に話しかけに行った。杏奈は、つくしの表情に疑問をいだきながらも、話しかける。
「あの、すいませんつくしさん。遅れてしまって・・」
その声で、はっと我に返るつくし。一瞬、え。と間抜けな表情をしてしまったが、神門の言葉を理解すると、素早く首を振る。
「ううん！大丈夫だよ。今、始めたところだしね。」
「気にすることないよ。」と柔らかく言われ、杏奈はほっと息をつく。
いつも通りの表情に戻り、料理を作る杏奈に、つくしはさりげなく隣に来て、たずねた。
「ねえ、杏奈ちゃん！若様と会ったの？」
「えっ！」
突然そう言われ、思わず、野菜を切っていた包丁を持つ手が止まる。
驚いてつくしを見ると、好奇心をもったキラキラの目をしていた。
「えっと・・・若様とジョギングしてました。」
「えええっ⁉」
杏奈が恥ずかしげにそう言うと、つくしは、すっとんきょうな声を上げる。
それは、食堂にいた全員が一斉に振り向くほどの大きさで、背後で食器などを準備していた秋が、「ちょっと静かにね・・・」と苦笑いしながら注意するほどだった。
☆☆☆
若様side
食堂で基山と必殺技のことについて話していると、突然マネージャーの一人である、大谷つくしが驚いたような声を出した。それは、大層大きな声で、後ろの窓際の方にいたわしでも聞こえる声であった。
『・・・ん？どうしたのじゃ』
不思議に思いながらその方向を見ると、杏奈と目が合う。しかし、一瞬で何故か目を逸らされた。
「へえ・・・やっぱり若君(わかぎみ)ってモテるんだね。」
『？』
モテるという言葉は、今時の言葉なのかわしにはよくわからぬ。
意味がわからず首をかしげると、
「鈍感だね・・・」
と何故か基山に苦笑いされた。
祝１０話！ということで若様の画像→←９話「若様、楽しみな様子」
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riko(プロフ) - 見てくれて、ほんとうにありがとうございます。頑張ります！ (2018年11月22日 5時) (
レス) id: 9c0b71dfd3 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - 主人公の名前、性格、設定すべて好みです！文章の書き方とかも丁寧で…とても面白かったです。続き楽しみにしてます。更新頑張ってくださいね！ (2018年11月22日 0時) (レス) id: f01d23ed14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：riko | 作成日時：2018年11月19日 20時
