うんうん。 ページ11
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【recog】
「珈琲下さい」
「かしこまりました」
初めて、Aさんに話しかけてみた。それも至近距離のカウンターで。音速メンバーが向こうで珍しそうにこちらを見ながら話しているのが伝わってくる。彼は僕ににこっと笑いかけると、珈琲豆をドリップをし始めた。挽きたての独特な苦味の香りにぶわりと包み込まれる。
「普通のよりいい香りですね」
「ふふ、分かりますか？」
ちょっと良い奴なんですよ、と嬉しそうに彼は笑う。あまりにも彼は無口なものだから、表情が無い冷たい人だと勝手に思っていた。それはただの偏見だったらしい。本当は細部までこだわりを貫いているけど見つけてもらえなかっただけの人だったかもしれない。その証拠に、Aさんはさっきよりも幾分か雰囲気が柔らかい。あぁ、飲み込まれそう。
それ以外はとくに会話も無く、こぽこぽとお湯注がれる音だけが流れていた。悪くないね。
「お待たせしました」
黒々とした液体が並々注がれた珈琲カップが、スコーンと一緒に置かれた。頼んでいないと目で訴えると彼は「さっきの御礼です」と微笑む。どうやらサービスらしい。それなら有難く頂こうか。
「……うま」
「れこぐーん、何食っとるん？」
「あぁふぁんくん、Aさんのスコーンだけど」
「ワシにも頂戴！」
「えぇー……」
心底嫌そうに顔を顰めて見せると、ふぁんくんは駄々っ子のように頬を膨らませて拗ねてしまった。いや別にいいんだけど、いつも舐められてばっかだから意地悪しようかなと思ったんだよ。
僕たちのやり取りにくすくすと笑った彼は、皿に３個程スコーンを乗せるとふぁんくんに差し出した。ふぁんくんの顔がぱああっと輝く。本当にAさんのことを敵視してるのかなぁと疑問になるくらい。ていうかむしろ懐いてない？
「ふぁんきぃ、残りでもいいならまだあるよ。温め直そうか？」
「え、ほんまに！？ええの！？」
「何それ、俺も食べたい」
「ちょ試合放棄しないでよセッピー……うわ美味しそう、僕にも分けてよふぁんきぃ」
「なんでやねん！ワシがもろたヤツやからあげんで！」
「えぇ、ずるい」
「何食べてるんですか？」
ふぁんくんの歓喜の声にセピアさんを筆頭にみんなが集まってきた。まだホカホカと湯気をたてるスコーンを見て、マリオさんが抗議の声を止めてふぁんくんに強請る。とわこさんも気になって見に来たようだ。目の端に捉えた彼は、嬉しそうに笑っている。
成程、とわこさんが惚れた理由が分かった気がした。
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燈花(プロフ) - 丸メガネさん» こちらでも改めて感謝を。貴方にはもう頭が上がりません！楽しみにして下さってる貴方のお陰で、絶賛調子乗ってます！こちらでは一応全年齢対象にしようと思いますが、喜んでいただければ幸いです！こちらも宜しく御願いします〜 (2019年1月3日 2時) (
レス) id: 5891c540c9 (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ(プロフ) - そんな…！続編とは別に新しい作品だなんて…！その上とわぽんだなんて…一体私をどうしたいんですか！混乱した結果高評価押してコメントまでしちゃったじゃないですか、もう！←てかむしろありがとうございます！全ての作品読みますよ、もちろん。 (2019年1月3日 0時) (レス) id: 3db30e273d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燈花 | 作成日時：2019年1月2日 20時
