ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１００ うらたside ページ6

う「…あいつまた食ってないじゃん。」

訓練の後、ヴァンプが朝ごはんちゃんと食べたかチェックして見ると食べていなかった。

坂田も隣で難しそうな顔をしている。

坂「アレルギー…はないし、食べられるはずなんやけど。」

好き嫌いごときでご飯を食べないような性格ではないだろうし、何か他の理由でもあるのだろうか。

坂田たちとご飯に行ったのもバッチリ報告は受けている。そのときも、まふまふや坂田には敵わないが普通に食べていたと聞いた。

ご飯が食べられない理由が食材の他にあるとしたら…ご飯を食べる人数か、はたまた場所か。

時間帯っていう線も…なくはない、か？

う「点滴で栄養入れるのは簡単なんだけど、体内器官への影響を考えたらちゃんと食わせるに越したことはないし…。しばらく一食だけでもまふまふにご飯連れてかせるか。お金は経費で落とせるだろ。」

それで食べられたとしたら、問題はさっき上げたやつでほぼ決まり。

原因がわかればすぐに改善できるだろうし、やって見る価値はある。

坂「ヴァンプ、ってさ。ここ来る前、どこにいたのかな。どんな家だったのかな。だってあの子の戸籍って…。」

う「やめろ、坂田。」

ぴたり、坂田の言葉を止める。

う「壁に耳あり障子に目あり。」

ヴァンプの治療をするにあたり、ヴァンプの保護者の連絡先を探すために俺と坂田で戸籍を調べたことがある。

そこで、ヴァンプには親がいないことを知った。

でも、それだけじゃなくて…。

坂「…ヴァンプちゃんは、このこと知ってるんですかね。」

暗い、坂田のつぶやき。

その言葉には、迷いが見えた。

このことを、聞いていいのか。仮に彼女がこのことを知らなかったとしてどう伝えればいいのか。

…『柳 Aなんて人間は、戸籍上この世に存在しない』なんて。

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