ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１１３ そらるside ページ21

…これはちょっと予想外。

「なんですか？」

相変わらずの無表情を向けてくるヴァンプは、いつもと雰囲気が違って。

待って俺、人形とデートしてるみたいにならない？え？やばくない？

本当にこいつ、人間？

そう思ってしまうくらいに、綺麗だった。

いつもヴァンプって少し血色悪いんだけど、化粧したことによってほわっと、人形みたいな血色感。

眼帯やアシンメトリーの前髪が合わさって、独特の雰囲気が出ている。

服も、襟付きで短めの黒シャツにジーンズで割と無難なのに、赤のベルトがいいアクセントになってて。

人形といえばロリータ！みたいな固定概念があったんだけど、逆にその無難なコーデがより作り物感を演出していた。

そ「なんでもない、いこっか。」

うらたくんからヴァンプについての話は色々聞いた。

転びかねないからちゃんと見ててやってってものすごい注意された。

ヴァンプは靴を履いてすっと立ち上がると、小さいリュックのようなものを背負った。

…貴重品は自分で持ってもらうか。むしろそれ俺に持たせるの普通不安だもんね。

そ「今日一日、ちゃんと頼ってくれていいから。」

とりあえずドアを開けて待っていると、ヴァンプが少し驚いた顔をした。

「まふまふ、さん。」

振り返ってドアの外を見てみると、なぜかそこにはまふまふ。

ま「そらるさん僕も行きたいです！」

あれなんでこいついるの。

今日空想管理局で仕事って聞いてたような気がするんだけど。

そ「…まふまふ、仕事サボったらどうなるか分かってるよね？」

一応行ってみると、図星だったのかびくりと動くまふまふ。

「まふまふさん、ちゃんとそらるさんは返すので。そらるさんのこと今日だけ貸してください。」

ぺこり、頭を下げるとヴァンプは俺の手を取った。

ま「いや僕はそらるさんの彼女じゃないから！」

いや俺も彼氏じゃないから！

てかまふまふにはそんなぶっ飛んだ冗談とか言うんだ。びっくり。

あまりにまふまふの否定が必死すぎて面白かったのか、ヴァンプは隣でまふまふに背を向けながらくすくす笑ってる。

…ん？笑ってる？

ま「ちょっ、そんな笑う！？」

「だって必死すぎっ…お腹痛い…！！ふふっ…」

振り返ったヴァンプはめっちゃ笑顔だった。

目の端に涙浮かべて笑ってた。

そ「…っ！」

可愛すぎか。

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