ヒロイン！８０ まふまふside ページ35
るすくんがミーティングルームに入ってくるなり、姫のことをいろいろ口説いたりしはじめた。
るすくんはとうとう気が狂ったのかとも思ったけど、端末にメッセージが入っていて事情を把握。
警察の『お仕事』としてそらるさんから頼まれてるから、あんな風に普段は嫌ってる相手にもニコニコ話せるのか。
僕はこっそりミーティングルームを抜け出すと、救護室の方へ走った。
うら坂チームが治療に当たってくれてたらしいから、まず治ってるとは思うけど。
途中そらるさんに会った。僕を呼びに行こうとしてたらしい。
そ「まふまふ、あの」
ま「るすくんから聞きました」
それだけ会話をすると、ぱたぱたと走ってヴァンプが寝ているところまで行った。
まだ掃除されてない床にべっとりと赤い何かが付いてて、生々しかった。
と、同時に姫を憎む気持ちが湧いた。
血濡れた始末書を見て、涙が出そうだった。
『…私の対応は、とても褒められるようなものではございません。ですが、私が油断していたが故にこのようなことが起こってしまったこともまた事実なのです。それに、誰にだって人間としての相性が悪い相手というものはいると思います。少しくらい、嫌がらせしてやろうという気が起きるのも、わからなくはありません。なので…』
ま「なんで、庇えるんだよ…」
あの瞬間の映像をみて、ヴァンプが油断してたのが悪いなんていうやつ多分誰もいないと思う。
あれは、姫が悪い。
なのに、ヴァンプの書いた反省文は姫を庇う内容だった。
なんで、庇うの。
でもきっとそれを聞いたら、ヴァンプは笑って『刺されたりしても面倒なんで』って言いそうな気がした。
そ「…こいつについて、皆どこまで知ってる？」
そらるさんが、ヴァンプの髪をさらさらと撫でる。
ラベンダーアッシュの髪がキラキラと輝いていた。
出会ったばっかりで、まだ僕たちはヴァンプについて何にも知らない。
好きな食べ物も、趣味も、どこからきたのかも、何を考えているのかも。
知ってることといえば、よく面倒くさいって言うことと、異常に強いってこと、僕らを守ってくれたこと…優しい、ってこと。
そ「何にも知らない。それは、こいつも同じ。お互いがお互いのこと、よく知らないんだ。…けど、なんでだろうな。こいつは俺らを命がけで助けてくれた。俺らもこいつに死んでほしくない。」
そらるさんが言わんとしてることはよくわからなかった。でも、悲しんでいるのはわかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
PaiN(プロフ) - 初コメント失礼します！ いつも楽しみに拝見しています。様々な視点からのストーリー展開や、登場人物の心情など読みごたえがあってとても好きです！！これからも応援しています。更新頑張って下さい！！ (2018年1月22日 23時) (
レス) id: 7643d58d7b (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - 初コメ失礼します。少し気になったのですが、80話では主人公ちゃんの髪がラベンダーアッシュと描かれているのに対し、83話ではブルーアッシュと描かれていて、どっちなのかなー?と思いました。演出だったらすみません。更新頑張ってください。楽しみにしています! (2018年1月22日 22時) (レス) id: 7ecf9aae1c (このIDを非表示/違反報告)
96neko - 初コメント失礼します。更新頑張ってください！ (2018年1月10日 4時) (レス) id: 35f8ab9167 (このIDを非表示/違反報告)
青いおにぎりちゃん(プロフ) - 面白いです！いつも更新楽しみにしています！ずきりが、図きりになってますよ！わざとだったらごめんなさい！ (2018年1月9日 16時) (レス) id: 394a55dba2 (このIDを非表示/違反報告)
れる - 初コメ失礼します!こーゆー感じの小説大好物です。好きです(唐突)毎日のぞきにくるので更新頑張ってください!!楽しみにしています(´ω`)♭ (2018年1月7日 23時) (レス) id: e854100071 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神咲のあ | 作成日時：2017年12月19日 10時
