ヒロイン！８５ そらるside ページ40
歌「…まずうらたくん。あの子の容態を説明してもらおうか。」
歌詞太郎はとても真面目で、恐い顔をしていた。
いつものおちゃらけた笑顔なんてかけらもない。眉間に寄ったしわの深さが、歌詞太郎の怒りを表していた。
う「今回新たに増えた傷の方は既に手術で塞いであるので問題はありません。どちらかというと彼女がここ3日ほど食事を拒否していることの方が問題です。
あとは前回お伝えしたように、戦争の時に負った傷の中でも、頭の傷は中々癒えません。絶対安静です。しばらくは移動は車椅子か、誰かが背負うかになりそうです。」
うらたくんも、カルテを見ながら険しい顔をしている。
これは、ヴァンプやまふには秘密にしているが、ヴァンプが撃たれて落ちたとき負った脳内の傷が、中々に曲者な感じなのだ。
もし、安静状態を解いてしまったら。最悪彼女は両手含む上半身の感覚を失うこととなる。
つめたい、熱い、痛い、かゆい…全てがわからなくなる。
戦士としてそれは相当な致命傷になる。
歌「そう。これからも最善を尽くしてくれ。
では、そらるくん。君は姫…いや、朝比奈妃についてはどう考える？」
ぴたり、目が合うと背筋が冷たくなった。
首にナイフを当てられてるような気分だ。
そ「…前回、ヴァンプが落とされた時は。まだ、姫は新しいメンバーが入ったことを強く拒絶しているだけ、と言い張ることができなくもない状況でした。ですが、今回。さすがにおいたがすぎたと。」
俺の答えに、ふうん、と歌詞太郎は頷くと、こちらへ歩いてきて俺の首に触れた。
歌「ねぇそらるくん。あの子がなぜ16歳という若さでこの部隊に入ったかは知っているよね。」
ヴァンプの近くに、スパイが潜んでいたからとかいうあれ。
思い出した俺の首を歌詞太郎が撫でる。
俺は忘れていた。あいつをこの部隊に所属させた電子戦争省のお偉方の本当の目的を。
歌「…護るべき相手、殺されかけてるんだけどさ。『おいたがすぎた』で済ませる問題なのかなあ、これ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
PaiN(プロフ) - 初コメント失礼します！ いつも楽しみに拝見しています。様々な視点からのストーリー展開や、登場人物の心情など読みごたえがあってとても好きです！！これからも応援しています。更新頑張って下さい！！ (2018年1月22日 23時) (
レス) id: 7643d58d7b (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - 初コメ失礼します。少し気になったのですが、80話では主人公ちゃんの髪がラベンダーアッシュと描かれているのに対し、83話ではブルーアッシュと描かれていて、どっちなのかなー?と思いました。演出だったらすみません。更新頑張ってください。楽しみにしています! (2018年1月22日 22時) (レス) id: 7ecf9aae1c (このIDを非表示/違反報告)
96neko - 初コメント失礼します。更新頑張ってください！ (2018年1月10日 4時) (レス) id: 35f8ab9167 (このIDを非表示/違反報告)
青いおにぎりちゃん(プロフ) - 面白いです！いつも更新楽しみにしています！ずきりが、図きりになってますよ！わざとだったらごめんなさい！ (2018年1月9日 16時) (レス) id: 394a55dba2 (このIDを非表示/違反報告)
れる - 初コメ失礼します!こーゆー感じの小説大好物です。好きです(唐突)毎日のぞきにくるので更新頑張ってください!!楽しみにしています(´ω`)♭ (2018年1月7日 23時) (レス) id: e854100071 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神咲のあ | 作成日時：2017年12月19日 10時
