甘酸っぱい後輩くん。 (ページ8)

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休み時間の終わりを知らせる、チャイムの音。

それは、しーんと静まった空間のなか流れた。

「あーあ、終わっちゃったね？」

私だって実は寂しい。
ずっとずっと一緒にいる分、離れている時間はやっぱり寂しいんだ。

慧「はい…また明日もご一緒させてください！」

急いでお弁当を片付ける。
次は、体育だ。嫌だけど……

元気な伊野尾くんを見ていると、不思議とそんな気持ちは消えていった。

"行くぞー"

という大貴の言葉を合図に、その場から離れようとした。

けど……腕をグイっと引っ張られ必然的に体が寄せられる。

「伊野尾くん…？」

目の前にいる大貴にはこんなことできない。

"ふっ"と近付いてきたと思ったら耳元に息がかかって

"放課後、図書室で待ってます"

一瞬頭が真っ白になった。
だって、一つ一つの言葉を言う度に、伊野尾くんの生暖かい息がかかるんだよ？

今日の私は、調子がおかしいだけ。

きっとそう。