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「大貴、お弁当食べよ！」
大貴「腹減ったー！」
大貴とお昼を食べるのが日課になって二週間。
最近は伊野尾くんがいないのが当たり前になってきて寂しい。
なんで？ キスをしたあの日から……
私が何か気に触ることでもしたのかな。
伊野尾くんの好きな白米を食べながらなんとなく考える。
一緒に登校もしなくなって
休み時間も来なくなっちゃって
たまに私から図書室に行ったことはあったよ？
だけど、タイミングが悪く図書室の当番が違う人だったみたい。
はぁ…
伊野尾くんが私の心の中でどんどん大きな存在になっていく。
キスされたあの日から伊野尾くんの見方が変わった気がするけど
もやもやするこの気持ちの正体が全く分からない。
私に対して甘えんぼな伊野尾くんに仕方ないと思うことはあった。
でも、なんだかんだいってそんな伊野尾くんにハマっていたのかもしれない。
大貴「A」
「……ん？」
大貴「笑って！」
急に何を言い出したのか。
"笑って"と言った大貴の笑顔はいつもより優しくてほっこりする。
そして、それに吊られて笑ってしまう。
大貴「よし。
なんか最近、悩みがあるみたいだけど……
俺は、Aの笑ってる顔が一番好き！
何でも相談して良いんだからな？」
ふっ、と笑った途端、大貴の手が頭の上に乗って撫でられた。
大貴って何でも見抜いちゃう所があるんだよなぁ。
そのおかげで、今みたいに何度も助けられたんだけど。
「ありがと、大貴！」
伊野尾くんも、何か考えがあって今こうしてるのかもしれない。
しばらくは、この距離を保っておこう。
大貴に笑いかけながら、密かに決意した。
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作者名：すん | 作成日時：2016年4月29日 23時
