甘酸っぱい後輩くん。 (ページ20)

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放心状態？

頭が真っ白？

何も考えられない？

今の私は、どの言葉が当てはまるんだろう。

放心状態でボーッとしていても
頭が真っ白で
何にも考えられなくても

胸だけはずっとどきどきとうるさく鳴っている。

大貴「お待たせ！オレンジジュース持ってきた！」

突然、部屋に響いた大きな声。

私も伊野尾くんも、パッと勢いよくそこに目を向ける。

慧「……ありがとう」

大貴「お、おう？」

ジュースを入れてくれてる間に何が起こったか、なんて私と伊野尾くんにしか分からない。

伊野尾くんもやっぱり落ち着いた様子を見せなくて、大貴は私たちを不思議そうに見てる。

"コト"

ジュースを飲んでコップの音が鳴る。

この静かな部屋の中、それは私の心に大きく響いた。

まだうっすらと残る唇の感触。
全身が熱く感じる。

別に、好きじゃない。

ねぇ、なんでキスしたの？

なんで……こんなにどきどきしてるの？

脳内で暴走しまくるわたし
いまだに顔を赤く染めている伊野尾くん
何も知らない大貴

この空間がもどかしくて堪らなかった。