甘酸っぱい後輩くん。 (ページ15)

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立ち去ろうとしていた私に気付いたのか、いつの間にか後ろに立っている伊野尾くん。

慧「誰かに用があったんですか？」

「……伊野尾くんだよ」

慧「どうしたんですか？」

言おうとするけど、やっぱり戸惑う。

私が誘うのって普通に考えておかしいかな？

慧「ふふっ、なんでも言ってください！」

あたふたして言うのを迷ってる私に気づいたのか、笑って

"なんでも言って"

と、私が言いやすいように気を使ってくれた伊野尾くん。

迷っていた気持ちも消え、誘ってみようかな、と自然と思えてきた。

「土曜日に大貴の家で勉強会をするんだけど……伊野尾くんも来ない？」

「あ、用事があったり一人で勉強に集中したかったら断って？」

なんとなく、緊張し
なんとなく、伊野尾くんの顔が直視できなくて

教室から見える時計をチラッと覗いた。

慧「行きたいです！でも、俺も一緒で良いんですか？」

「あ、、うん。大貴が誘ってこいって！」

慧「なんだ…大ちゃんが言ったんだ」

相変わらず先輩の大貴のことを"大ちゃん"と呼ぶ伊野尾くんには笑ってしまうけど

一瞬、真顔と言えるくらい無の表情をした伊野尾くんが少し怖くなった。