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さっきの光景を思い出す。
伊野尾くんから放たれるあの良い匂いは忘れられないな。
また"A"って呼ばれたのも、気のせいか本当なのかよく分からない。
とにかく心臓がうるさく鳴っていた。
伊野尾くんは自然と私を家に送ろうとしていて
申し訳ない気持ちが溢れる。
「あ、伊野尾くん！ 連絡先……交換しない？」
慧「いいんですか！します！」
最近、伊野尾くんとの仲が深まった気がして
仲の良い印に…ってことで珍しく 私から 提案した。
慧「わあっ、すげえ嬉しい」
言葉の通りに頬を緩ませ、スマホの画面をじっと見つめながら呟いた。
さりげなくスマホを覗き合って、二人の番号を交換。
電話帳に新しく入った"伊野尾慧"という文字を見て私も舞い上がってしまっている。
"あのっラインも良いすか？"
そう申し訳なさそうに恐る恐る聞いた伊野尾くん。
伊野尾くんからも言ってもらえるなんて、逆に嬉しい。
「いくよー！」
そう言って二人で楽しくスマホを振る。
ちょっと馬鹿っぽいけど、なかなか面白いもんだ。
伊野尾くんも…… 、何故か私も満足そうにスマホをしまってバイバイをする。
慧「先輩さようならっ！」
さっきの気まずい雰囲気…
やっぱり、私たちには合わない。
また普通に喋れて良かった
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作者名：すん | 作成日時：2016年4月29日 23時
