二話 ページ2
中学三年生の夏、引っ越してきたのはド田舎。
車の窓から見える景色に私は少し寂しく思えた。
此処は緑と水が綺麗で、夏なのに気温が低い。
だがしかし、店やコンビニ、カフェなどはほとんどないので住みにくそう。
大型ショッピングセンターに行くにも二時間はかかるらしい。
そしてバスなんてそんなに来なくて、遠出をしても帰るのは遅くなるのだとか。
本当にド田舎。嫌だな。
こんなにも嫌がる私が此処にきた理由。
それは親の都合だ。
大きな家がほしいからついつい買ってしまったみたいで。
それだけならまだ許せる。
だが、まさか田舎にあるとは知らなくて、ずっと都会だと思っていた。
「ねぇ、家って何処なの。」
「もうすぐ着くわよ。」
田舎だけど乗っている車がガタガタと揺れることはない。
車がよく通る道だから整備されているのだろうか。
「ほら、着いた。」
車を降りた先には大きな家があった。
回りは木だらけで、一軒だけしか建っていない。
と思えたが…。
「あそこの家に挨拶しなきゃね。」
お母さんとお父さんがなぜか知らないけどはしゃいでいる。
あそこの家……とは、私が住む新しい家の裏側にある家。
その他に家なんて見当たらない。
「ほら、A。挨拶しに行くわよ。」
「はーい…。」
お母さんに手を引かれて、無理矢理連れていかれた。
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作者名:みずりんろーる | 作成日時:2017年5月15日 7時