偶然の邂逅 ページ45
兄の葬式から父は酒漬け、母は家事もせず、夜は何処かへ出掛けるようになった
将来有望の息子が死んだのだ
もう自分達に希望はないと考えてるのだろう
そんな私は今、駄菓子屋で今日のお昼ご飯を選んでいるところだ
食べても腹の足しにはならないが
そんな事を考えていると、ドンっと人とぶつかってしまった
黒い制服を着た、私と同じくらいの背丈の男の子だ
『すみません、大丈夫です…か』
乱「あ、Aだ」
此処で運命の再会と思ったら大間違い
何故なら私はコイツに怒っていたからだ
警察学校に行っても連絡は寄越さず、音信不通だった
『らん、ぽ』
今コイツの顔を見ると、酷く安心してしまった
『久しぶり。___ねぇ、ちょっと話さない?』
今はただ、話し相手が欲しかったのだ
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ベンチに座り、乱歩が今まで何をしていたのか聞いた
警察学校を追い出され、軍の屯所を巡り路頭に迷っていたところ「福沢諭吉」と云う人物に出逢ったという
乱歩曰く自分にとっての恩人であり、其の人と今「武装探偵社」と云う会社を設立したらしい
乱歩は其処で「名探偵」として活躍しているようだ
乱「てかんじ。もうすぐ社長が迎えに来てくれるんだ」
『そう。良かったわね』
私が十三だから…乱歩は今十四歳だっけ
乱「そう云えば、小さい頃変な力使えるって云ってなかったっけ?」
『…嗚呼、そんな事もあったかも』
ラムネを飲みながら、適当に相槌を打つ
乱歩が云っている「力」とは、私が使える異能力の事だろう
でも乱歩はただの一般人
細かい説明はせずに「力」と簡単に説明していた
ただ、其れがどうかしたのだろうか
乱「A、探偵社に入りなよ」
『…え』
思いもよらない提案に、心臓がビクッと跳ね上がる
乱「僕の幼馴染だし。其れに、今の環境は体に毒だよ」
『!!』
咄嗟に骨が浮き出た腕を隠す
母が家事をやらなくなってからと云うもの、ずっと駄菓子生活だったのだ
でも、そんなの一瞬で判るわけがない
一体如何して
乱「"如何して"って貌してるね。何故なら!僕は莫迦な一般人とは違う、他より優れた異能力者だからな!」
『…はァ?何云って』福「乱歩」
落ち着いた深みのある声が聞こえ振り向けば、其処には着物姿の白髪の男がいた
恐らく、乱歩が教えてくれた「福沢諭吉」だろう
福「…?貴君は」
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クリームソーダ(プロフ) - マジで理想が合いすぎのヤバい小説なんよ、まじ推してる!投稿ファイトです! (8月14日 20時) (レス) @page31 id: 26b86d7ce9 (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 2度目のコメント失礼します!ホントに神すぎて思わずコメントさせていただきました!前のコメントで続編ありがとうございますに訂正します。ほんとうにこの作品神です。有難うございます・・・! (8月9日 20時) (レス) @page22 id: b30c1230b7 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - 乱歩さん…!可愛すぎる!!ほんとに神作品に出会えました…!いざという時の乱歩さんのかっこいいところと普段の可愛いところをキャラを保って書かれていてホントに最高です!!続き楽しみにしてます! (8月9日 17時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 続編おめでとうございます!この作品が大好きで毎日スマホ確認しちゃいます (7月31日 8時) (レス) @page9 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 続編おめでとうございます!私この作品大好きです!いつも読むのを楽しみにしてます (7月27日 18時) (レス) @page1 id: 32263cd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 | 作成日時:2023年7月27日 15時