彼女の旧時 ページ44
※間宮視点※過去編
私には血の繋がった兄がいる
否、厳密に云うと"いた"と明記したほうが正しいか
私より一つ年上で、頭がも善く運動もできる兄
でも、兄は私が十三の時に死んだ
学校帰りに寄ったお店に強盗が押し入り、流れ弾が兄の頭を貫いたのだ
正直、私は"嬉しかった"
『…』
父「◯◯!お前は本当に凄いなぁ!さすが父さんの息子だ」
母「また賞を取ったんですってね!私達も鼻が高いわ!」
兄「当たり前だよ!何処ぞの木偶の坊とは違うんだ」
父「其れに比べて…A、お前は何をしても駄目だな」
母「本当に、お兄ちゃんをもっと見習いなさいよ」
『…ごめんなさい』
父と母共に完璧主義者。運動も勉強も全て兄に持っていかれた私は用済みだったらしい
と云うか、もともと要らなかったのではないかと思う
物心ついた頃から此扱いを受けていたと云うのに、私を見て欲しくて思い立ったのが「強くなる事」だった
何とも幼稚で意味が判らない発想
莫迦莫迦しいにも程がある
でも必死だった五歳の自分なりに、ちゃんと考えたのだろう
兄「おい、学校で話しかけてくるんじゃないぞ。お前が妹だって知られたくないからな」
『……』
そして十三歳の時、兄は死んだ
乱歩は警察学校に行って以来会ってはいなかった
ご両親が亡くなり、警察学校で世話になっているらしい
話を戻すけど、兄がいなくなれば両親は私を見てくれる
あの冷め切った目ではなく、私に期待してくれる、優しい目をしてくれるはず
そう、思っていた
『ふ、ふふ、やった。これで、これで私を』
そんな莫迦な事を考えていた私は兄の葬式が終わった夜、居間に行くために襖を開けようとした
その瞬間、母の声が聞こえた
母「如何してあの子が…」
母の啜り泣く声、今までに聞いた事がないような声でハンカチを鼻に押し付けていた
死に方だって普通ではない
母にとって、相当くるものだったのだろう
父「クソッ、Aが死んでいれば…」
『…ぇ』
母「私達には◯◯しか要らないのに…!如何してAが生きてるのよ!!」
私は静かに階段を上がり、部屋に閉じ篭もった
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クリームソーダ(プロフ) - マジで理想が合いすぎのヤバい小説なんよ、まじ推してる!投稿ファイトです! (8月14日 20時) (レス) @page31 id: 26b86d7ce9 (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 2度目のコメント失礼します!ホントに神すぎて思わずコメントさせていただきました!前のコメントで続編ありがとうございますに訂正します。ほんとうにこの作品神です。有難うございます・・・! (8月9日 20時) (レス) @page22 id: b30c1230b7 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - 乱歩さん…!可愛すぎる!!ほんとに神作品に出会えました…!いざという時の乱歩さんのかっこいいところと普段の可愛いところをキャラを保って書かれていてホントに最高です!!続き楽しみにしてます! (8月9日 17時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 続編おめでとうございます!この作品が大好きで毎日スマホ確認しちゃいます (7月31日 8時) (レス) @page9 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 続編おめでとうございます!私この作品大好きです!いつも読むのを楽しみにしてます (7月27日 18時) (レス) @page1 id: 32263cd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 | 作成日時:2023年7月27日 15時