探偵の用心棒３【文スト】【江戸川乱歩】

適当な女 ページ43

『失礼ね。丁寧に話したじゃない』

敦「丁寧と云うか、大雑把ってかんじですよ…」

『此処からは有料よ』

敦はガクっと肩を下げると、太宰の言葉を思い出す。


太「間宮さんの過去はどう調べても判らなくてね…美人の生い立ちは知りたくなるタチなのさｯ！頼むよ敦くん！」

敦「え、ええええええ？！！」



自分の押しの弱さに残念がっていると、事務所の扉が開いた。其処には雨のせいか、びしょ濡れの国木田が立っていた。

『風邪ひくわよ』

国「敦、緊急要請だ。お前も「子猫探し」を手伝え」

敦「此雨の中ですか？！」

敦の云う通り、外は土砂降りの雨。他の社員も皆有給をとっているだろう。

国「取引先のご令嬢の飼い猫だ。即刻見つけ出さねばならん。ネコ科のお前(敦)ならきっと判るだろうと乱歩さんがな」

敦「ら、乱歩さぁん…」

敦は泣く泣く、恐らく無駄になる傘を手に取り国木田と共に事務所を後にした。

『乱歩ったら、また敦で遊んでるわね』

溜息混じりに呟き、メールを確認する。其処には一件、間宮宛のメールが届いていた。

差出人:乱歩さん［備蓄の駄菓子無くなったから買っといて］

『…今度でいいか』

降り頻る雨の中、ザーザーと雑音だけが部屋に響く。

間宮は雨が伝う窓を眺めながら、ゆっくりと目を閉じた。

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