名探偵との歓談 ページ34
福沢が階段を降りて来たと同時に、国木田、間宮、与謝野、賢治、鏡花、谷崎は詫びいるように一礼した。
乱歩は相変わらずケーキを食べ続けるようだ。
福沢は一通り皆を見渡すと、何時も声色で呟く。
福「懲罰内容は追って沙汰する。だが、今回の諸君の働きには深く感謝する。_____皆、よくやってくれた」
______________________________________________
日が沈んだ頃、パーティも終盤を迎えていた。
間宮は気分が晴れないのか、グラスを片手に海が見える小さなテラスに居た。そして手摺に腕を乗せ、呆然と海を眺める。
『…綺麗』
乱「A」
名を呼ばれ、ゆっくり振り返る。
『ケーキは十分食べれたのかしら?』
そう憎まれ口を叩くと、乱歩は猫のように笑った。
乱「中々行ける味だったよ」
『嘘ばっかり。美味しそうに食べてたじゃない』
間宮が頬杖をつきまた海を眺め始めると、乱歩も同じように海を眺め始めた。
今日までの疲れが出たのか、二人の間に沈黙が続く。話を切り出したのは乱歩からであった。
乱「社長とは話せたのか?」
『お陰様でね。ちゃんと謝罪したわよ。___って云っても、謝るなって怒られたけど』
間宮は先程の福沢との会話を思い出し、頰が少し緩む。
今回の件、間宮に当たるはずだった攻撃を福沢が庇った事から始まった。其れをずっと気にかけていた彼女は、夜も眠れなかったらしい。実際、小説の中でも寝ていなかったわけだが…。
乱「ふーん…ま、解決したなら良かったんじゃない?」
『そうね。…ありがと』
何時もとは違う素直な間宮。ふと、彼女のグラスを見るとまだ少し中身が残っていた。恐らくお酒の類では無く、子供向けのジュースだろう。
乱「其れ、何味なの?」
『此れ?林檎よ』
『もう要らないけど』と困ったように眉を八の字にすると、グラスを傾け其れを海に捨てようとする。
しかし、乱歩が其れをパシッと阻止し「頂戴」と云った。
『頂戴って、これ飲みかけだけど』
乱「仕方ないなァ。僕が引き取ってあげる」
『…どーも』
何を云っても仕方ないか、と大人しくグラスを渡した。すると乱歩は其れを一気に飲み込み、舌舐めずりをする。
乱「んー…及第点!」
『はぁ…?』
すると夜風が吹き、間宮の髪の毛を靡かせた。彼女は其れを抑えるように髪を耳にかける。
其の様子を、乱歩は少し我を忘れて見入っていた。
『なに』
乱「…べつに」
五月蝿い視線に悪態をつくと、乱歩は其れを誤魔化すように視線を海に移す。
372人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クリームソーダ(プロフ) - マジで理想が合いすぎのヤバい小説なんよ、まじ推してる!投稿ファイトです! (8月14日 20時) (レス) @page31 id: 26b86d7ce9 (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 2度目のコメント失礼します!ホントに神すぎて思わずコメントさせていただきました!前のコメントで続編ありがとうございますに訂正します。ほんとうにこの作品神です。有難うございます・・・! (8月9日 20時) (レス) @page22 id: b30c1230b7 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - 乱歩さん…!可愛すぎる!!ほんとに神作品に出会えました…!いざという時の乱歩さんのかっこいいところと普段の可愛いところをキャラを保って書かれていてホントに最高です!!続き楽しみにしてます! (8月9日 17時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 続編おめでとうございます!この作品が大好きで毎日スマホ確認しちゃいます (7月31日 8時) (レス) @page9 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 続編おめでとうございます!私この作品大好きです!いつも読むのを楽しみにしてます (7月27日 18時) (レス) @page1 id: 32263cd71c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜 | 作成日時:2023年7月27日 15時