睡眠不足 ページ23
__三日目
『よしっと…これで残りは五人だけね』
捕まえた殺人鬼を縄で縛ると同時に、大きく欠伸をした。今日で滞在三日目、「共喰い」のことを考えると今日中には終わらせたい。そう考えていた。
乱「……」
乱歩は眼鏡を掛け、何やら神妙な面持ちで考え事をしているようだ。否、推理と言った方が正しいか。
しかし徐々に顔が険しくなるのを、間宮は見逃さなかった。
『引っ掛かる?』
乱「いや…」
『何?はやく云って』
口を濁す乱歩を催促し、腕を組み直す。すると、乱歩は眼鏡を外し小さく呟いた。
乱「…簡単過ぎる」
何時もにまして容易に見つけた殺人鬼。其れも残り五人となったのだ。本来喜ぶはずなのだが、何やら"上手く"行きすぎているらしい。
『簡単って…乱歩さんなら楽勝でしょ?』
珍しく間宮が褒めたかと思うと、其の間に曇りはなくどうやら不意に出てしまった本音のようだ。
そんな讃美の言葉に乱歩は何時もの調子で返事をした。
乱「…そーだ!僕は天才だからな!わーはっは!」
『何其の笑い方』
腰に手を当てひと笑いしたかと思うと、「僕仮眠するー」と云って宿に戻って行った。間宮は其の様子を見て一息つき、捕まえた殺人鬼を人気の無い所へと運ぼうとする。
すると、間宮の視界が少し暗くなった。否、影がかかったのだ。時刻は十七時を過ぎ、夕陽が沈む頃だった。
『___誰』
振り返ると其処には大柄な男が一人。
男1「お前が此処に宿泊してる探偵の用心棒ってやつか?」
『…』
今の間宮にとっては此の男が一般市民か殺人鬼かなんて見分けが付かない。しかし、目立たないことに悪い事は無いだろう。
『いいえ、私は一般の宿泊者ですが?』
男1「へぇそうかい。___________嘘はいけねぇな」
『ッ?!』
男がそう云ったと同時に大きく腕が振るわれる。
間宮はそれを間一髪で避け、距離を取った。
『ッと、危ないでしょ』
埃を叩きながら機嫌が悪そうに呟いた。"ふらつきそう"になる足をなんとか立て直す。
(くそッ、こちとら三日連続寝てないんだってのッ…!)
彼女は有事の為にずっと睡眠を取らずに外を見張っていた。ただでさえ頭の切れる名探偵が現れたのだ。殺人鬼は真っ先に乱歩を狙ってくる、そう考えた。
案の定其の勘が当たり、夜間に襲ってくる敵は少なくは無かった。が、全員間宮によって倒され路地裏に捨てられていたのだ。
男「ついて来いよ。宿に火、つけられたくねぇだろ?」
『…なんですって?』
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クリームソーダ(プロフ) - マジで理想が合いすぎのヤバい小説なんよ、まじ推してる!投稿ファイトです! (8月14日 20時) (レス) @page31 id: 26b86d7ce9 (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 2度目のコメント失礼します!ホントに神すぎて思わずコメントさせていただきました!前のコメントで続編ありがとうございますに訂正します。ほんとうにこの作品神です。有難うございます・・・! (8月9日 20時) (レス) @page22 id: b30c1230b7 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - 乱歩さん…!可愛すぎる!!ほんとに神作品に出会えました…!いざという時の乱歩さんのかっこいいところと普段の可愛いところをキャラを保って書かれていてホントに最高です!!続き楽しみにしてます! (8月9日 17時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 続編おめでとうございます!この作品が大好きで毎日スマホ確認しちゃいます (7月31日 8時) (レス) @page9 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 続編おめでとうございます!私この作品大好きです!いつも読むのを楽しみにしてます (7月27日 18時) (レス) @page1 id: 32263cd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 | 作成日時:2023年7月27日 15時