あの時間は何年経っても忘れない ページ18
私は帆高や父親の目を盗んで、
何度もみんなの元へ行った。
たまに、大我の力も借りながら。
帆高の監視から逃れるのは簡単だった。
だって彼等は警備隊と同じで、
職務怠慢が目立つ人達だった。
貧民街によく出入りするようになった私は、
大我達以外にも、交友が広がった。
樹の言っていたパン屋の娘とも
気軽に話す仲になったし、
花売りの少女は私を慕ってくれている。
テーブルマナーを気にせずに
食べ歩きをしたり、
綺麗な服なんか脱ぎ去って、
みんなの服を借りて街を歩いたり、
昼間から安いお酒を飲んで、
みんなで浴びるように酔っ払ったり。
私は、このときだけ貴族から離れられた。
ただの"A"として過ごせるのは、
とても開放的で、自由だった。
樹「ねぇA〜。Aはぽっちゃり派?肉体美派?」
A「何の話?」
樹「タイプの話!」
A「うーん、体型はあまり気にしないかな…。」
私の答えを聞いて
グッと大我に向けてサムズアップした樹。
「何してんだよ!!!」
と気付いた大我に怒られていた。
たまに、こういったみんなのノリに
ついていけないときもあったけど、
それでも全員優しくて、
ずっと此処に居たいと思った。
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作者名:Shiona | 作成日時:2024年3月22日 23時