Personalité (ページ16)

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非常用の避難所だろうか。

階段を降りた先はそれほど暗くはなくて、
上背のあるみんなが立てるほど広かった。

樹に下ろしてもらって、
みんなで円を作るように固まって座る。

扉を閉めたら少し暗くはなったけど、
それでも人の目や口の動きを
視認出来るくらいは明るかった。

隣に腰を下ろした大我は、
ノートパソコンを開いてカタカタと何かを打ち始める。

大我「あー…、電波悪い。」

何かにアクセスしようとしてるみたいだけど、
此処は地下だからなかなか苦戦している。

すると、
頭上からバタバタと走る足音が聞こえる。
同時に悲鳴や泣き叫ぶ声も。

その音はまるで直ぐ傍で聞こえているかのようで、
思わず耳を塞いだ。

樹「貧民街(ここ)はボロいとこばっかだから、ほぼ毎日こんな感じよ。昨日話した人が、今日には居ないなんてよくある。」

慎太郎「慣れたもんだよねぇ。皮肉にも。」

北斗「おい静かにしとけよ。」

反対隣の樹に、
肩に手を置かれ、抱き寄せられた。

それを嫌だと思わないのは、
彼が私の恐怖を緩和させようと
してくれていることが分かっているから。

大我「んーっと…、あーこれだ。はい。」

ーこれ丁度真上ね。
そう言ってみんなにノートパソコンの画面を見せてきた大我。

画面には外の映像が映っていて、
逃げ惑う人々の姿が見えた。

後ろからは、獣が追い掛けてきている。

どうやら街に設置された監視カメラに
アクセスしていたみたいだった。

優吾「4、5……。お、3匹減ってる。」

北斗「たった3匹かよ…。これじゃあ貴族の方に何匹か行くだろうな。」

街には警備隊が常駐している。

彼等はバリケードの上から、
入り込んできた獣を始末する役割を持つ。

とても重要な役割だけど、
実際の仕事力はかなり底辺だ。

そもそも内側に入る前に始末するために
バリケードの上に居るのに、

その怠慢が、獣の侵入を許している。

ただ、貴族側には優秀な警備隊が居るらしく、
彼等は貧民街の警備隊が
取りこぼした獣の後処理の役割を持つ。

こんなところでも貧民と貴族とで違う、
万が一獣が侵入してきても大丈夫だと、
帆高が以前ペラペラと話していた。