Personalité (ページ15)

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北斗「…あ、やばい。慎太郎、釘とトンカチ。」

突然、ガタッと立ち上がった北斗は、
慎太郎に扉と窓を塞ぐよう伝える。

他のみんなも灯りを消したり、
テーブルを移動させたり、
北斗の様子に戸惑わずに動き始める。

A「え、どうしたの？」

大我「北斗が"視た"んだよ。あの感じは多分、獣が出たんだ。」

優吾「北斗はね、少し先の未来を予知する能力なんだ。」

ーAは座ったままで大丈夫だよ。
と救急箱を片手に優吾が言う。

"予知能力"。
みんなの能力を聞きながら、
もしかしたらそんな能力を持つ人も
居るかもしれないと思っていたけれど、
こんなに近くに居たなんて。

北斗の様子から、
意図せず視えるものなのだろうか。
視ようとして視ているわけではなさそう。

突然の非常事態に何も出来ないまま
忙しく動き回るみんなを見ていれば、
北斗と目が合う。

その目は赤く染まっていた。

慎太郎「うーん…。あ、これあれだ！十字路辺りの壁！彼処ボロかったし、壊れたっぽい。」

ベニヤ板で扉と窓を塞いだ慎太郎は、
窓の傍で耳を澄ませていた。

十字路はこの貧民街の中心部にある。

私達が居る場所は貧民街の端の方だけど、
獣が此方側に来る可能性もあるため、
危険なのに変わりはない。

慎太郎「ざっと8匹くらいって感じかな？」

北斗「此処まで来るのにどれくらい減るかな。警備隊の力は信用ならないし。」

A「慎太郎は耳が良いのね。」

慎太郎「ん？違う違う！これ俺の力！五感が少し鋭くなるんだ！」

樹「とりま地下に逃げるべ。ちょっとごめんね。」

慎太郎の説明を聞いている途中だったが、

樹は私を抱き上げて、
床の扉を開けていたジェシーの元へ行く。

大我「ちょっと樹。俺が抱えるから良いよ。」

樹「きょもには無理無理。良いから早く入れって。」

女性一人抱えきれないと指摘する言葉が
気に障ったのか、ムッとする大我。

私としては細身の樹の方が
耐えられるか不安だけれど、

彼は見た目とは裏腹に
私を抱えたまま地下へ降りていく。