兄の企み ページ15
ｰ A ｰ
少しだけ傾斜のキツい坂を登る。
秋も終わりに差し掛かり、冷たい風が頬を掠めた。
坂をのぼり終えると、今度は三十段の階段を昇る。
登りきった先には立派な四脚門。それを潜り、左に曲がると広がるのは墓地。手前で手桶に水を張り、足を再び動かす。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿一列目の一番端の墓。
掃除をし、花を替える。そして、線香を供え手を合わせる。
ここに眠るのは私達の両親だ。
まあ、眠ると言ってもあの時骨諸共ぶっ飛んだ二人の遺骨何てものは無い。気持ちだ、これは。どうか安らかにと弔ったが、今の状態を見ていたとしたら安らかにとはいかないだろうな。
ここへ来たのは実に2ヶ月ぶりだ。と言うのも、毎月15日に誰かがここへ来て掃除をすると私達家族の中ではそう決まっているからだ。先月は兄が、先々月は水世がここへ来たはず。多分、兄と水世は一緒に来てるんだろうけど。
「A」
優しい声色が、私の名を呼んだ。ボーッと墓石を見つめていた目線をそちらに向けると、同じ色の髪と目を持ったそこそこのイケメンが立っていた。
『今月は私の当番だけど』
「だからお前が居ると思ってな、来た」
兄が私の横に立つ。そして替えたばかりの花を見た。
「菊か、綺麗じゃん」
『丁度時期だからね』
白が綺麗だったから白にした、と私は言葉を紡いだ。
風が吹けば、菊の独特の香りが鼻腔を擽る。苦い。
「お前今日夜は」
突然、兄がそう聞いてきた。
『特に予定は無いよ』
「明日は」
『休み』
「お、なら丁度いいや」
...丁度いいとは？そして兄は檸檬色の瞳を私に向けた。そのキレ長いつり目は、少し細められていた。
「今日諏訪達と宅飲みするんだ。お前も来いよ」
何だかいつもの落ち着いた雰囲気とは違って、すごい楽しそうだ。こういう時の兄は何か企んでいる。
『...あたい未成年でっせ』
「諏訪“達”って言ったんだ。別に未成年はお前だけじゃないよ」
その言葉に何となく納得はする。あの隊は本当に仲がいいと思う。
しかし同時に、疑問も生まれた。
あれこの人達の家、そんな広かったっけ。
✽・:..｡o¢o｡..:・✽・:..｡o¢o｡..:・✽・:..｡o¢o｡..:・
高槻
ポジション：エンジニア
年齢：24歳 ※訂正しました
誕生日：6月29日
身長：175cm
血液型：O型
星座：つるぎ座
職業：ボーダー職員
好きな物：天津飯
Family：父(故)、母(故)、妹、妹
所属：本部 エンジニア
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 798人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綺世(プロフ) - お抹茶。さん» コメントありがとうございます！素敵な作品と言っていただけてとても嬉しいです。モチベーション上がります⤴︎まだまだ完結まで時間がかかりそうですが、最後まで見届けて頂けたら幸いです！ (2021年12月25日 1時) (
レス) @page38 id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
お抹茶。(プロフ) - コメント失礼します。素敵な作品に出会えて嬉しいです！私が夢主ちゃんの立場だったら水世ちゃんの事今更何だろうって思っちゃいますね...。これからどんな展開になっていくのか凄く気になります！応援しています！ (2021年12月24日 8時) (レス) @page37 id: 58d51f3323 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます！読んでいただけて光栄です。どのような結末になるのか、最後まで見届けて頂けたら幸いです。 (2021年12月21日 22時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - コメント失礼します。とても私好みの展開で一気に読んでしまいました。個人的には夢主は今まですごく辛い思いしてきたので、水世ちゃんが謝罪して元通り…………はならない気がしますね。何かもうひと波乱あって逆の立場になりそうこの姉妹。 (2021年12月20日 18時) (レス) @page23 id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - ばぐさん» コメントありがとうございます。作品、拝読させて頂いています…コメントを見た時に驚いてしまいました…！！どうぞ最後まで見届けて頂けたら幸いです。 (2021年12月20日 3時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綺世 | 作成日時：2021年11月2日 17時
