玉狛第二の欠点 ページ31
2月5日。
B級ランク戦ROUND2 夜の部。
玉狛第二の第二戦目である今夜は、いつもより観戦者が多いように感じる。
解説にあの東 春秋が居ることも相まって、朝香がランク戦観戦会場に着いた時には殆どの席が埋まっていた。
人混みが得意では無い朝香は、少し画面から遠くなってしまうが上の観戦室で見る事にした。
･
結果はまたも玉狛第二の勝利。
三雲を入れての初めてのランク戦となった玉狛第二だったが、中学生らしからぬその作戦に朝香は感銘を受けたと同時に、その裏の努力も悟っていた。
それが幸をなし、見事下克上を実現した玉狛第二を、朝香はかなり気に入った様だった。
閉場となったランク戦観戦会場の人が少なくなったのを確認し、朝香は席を立つ。
そして、そのまま下へ降りる。
下へ降りると非番のA級がまだ残って話していた為、その通路の隣の通路を通り解説席に足を運ぶ。
『解説お疲れ様です』
解説席にはまだ東も緑川も武富も残っており、朝香の声に反応して顔を向ける。
「珍しいな、朝香。B級ランク戦を見に来るなんて」
『玉狛第二が気になりまして。それに、東さんが解説なら尚更見に来ないと』
「はは、お立て上手だな」
隣で緑川も「Aさん俺の解説どうだった？」と子犬のような目で朝香を見てニコニコしており、その反対側にいる武富も「はぁ！生の朝香さん...！いい匂いがする...」と騒がしい。
緑川を適当にあしらい、武富に笑いかけた朝香は再び東に視線を向けた。
『東さんも気が抜けませんね、こんな快進撃を見せられてしまうと』
「本当にその通りだ。
朝香から見て玉狛第二はどうだ？参考にしたい」
「参考なんて恐縮です」と返した朝香。しかし、あの東から意見を求められているのにぞんざいな事を言えば後々彼の弟子達に何を言われるか分からないので、朝香はランク戦の内容を思い出す。
『やっぱり偏りが気になりますね。まあ、新しい部隊なので当然かもしれませんが』
そして一言、淡々と言い放つ。
『あの空閑君でしたっけ？あの子倒せば玉狛第二を崩すのは容易なものだと思いますよ』
分かりきってる事だとは思いますけどね、と先程とは打って変わって柔らかな声でそう続けた。
朝香は高い実力を見せる玉狛第二に対して“崩すのは容易”と言った。
そして最後に、こう付け加える。
『エースが一人では、あのチームの問題は解決出来ないと私は思います』
この時点で朝香は、玉狛第二の欠点に気が付いていたのだった。
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そると(プロフ) - ワールドトリガーの小説の中で1番好きな作品で何度も読ませて頂いてます！新作も面白いので綺世さんの毎度更新楽しみにしてます。 (2022年2月12日 16時) (
レス) id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
みくく - 荒船さんが思ったより出てきて凄い嬉しいです!朝香ちゃん淡々としてますね笑 (2021年7月14日 21時) (レス) id: 173121a55e (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - Noahさん» そう言っていただけて光栄です。作品、拝読させていただきました。勉強になる様な表現が沢山あり、読んでいて楽しかったです！お互い、執筆活動頑張って行きましょう！ (2021年7月9日 17時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すごく好きです…!!作者様のペースで更新たのしみにしてます (2021年7月8日 10時) (レス) id: db354829ef (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - みくくさん» ありがとうございます！こちらこそこれからもご愛読よろしくお願いします！ (2021年7月1日 22時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2021年6月10日 20時
