朝香と菊地原�� ページ22
その言葉に、菊地原は反応する。
澤の隣に立つ落ち着いた雰囲気の彼女を見れば静かに瞬きをするだけだった。
自身と同じく【強化五感】を持つ彼女。
菊地原にとって、初めて出会った同じ立場の人間だった。
「なるほど、お前とは入隊した頃からの付き合いだがそんなSE持ちだったとはな」
『そんな大したものでは無いですよ』
風間と同期に当たるという朝香は風間の言葉に静かに笑ってそう返す。
もし、風間が朝香のSEの事を菊地原よりも早く知っていたなら、風間隊に居たのは彼女だったのかもしれない。機動力も申し分ない実力だし。
そう思ってしまった菊地原は少し朝香に嫉妬した。
『それよりも菊地原君の方が凄いですよ』
そう言って朝香は菊地原を指した。
『彼の強化聴覚。厄介ですよ、こちらからしたら』
「確かに！攻撃全然当たらなくて最初ビビったし」
「連携も完璧だったし、マジで怖い」と澤が続ける。
それに朝香も頷いて同意をする。
確かに、客観的に見て連携は澤隊よりも風間隊の方が完成していた。今回風間隊が敗北したのは、単に澤隊の攻撃スピードとトリッキーな動きについていけなかったからである。
「これで実力着いてきたら俺達完封ですよ」
『仰る通り』
二人はお世辞で言っている訳では無い、本気でそう思っているのである。
その後も暫く談笑をしていると突然、朝香の動きが止まる。四人が何事かと思っていると、朝香は静かに短く息を鼻から吸った。
『あ、今日までの課題あるの忘れてた。もう少し話したかったですがすみません、私はこの辺で失礼させていただきますね』
朝香は申し訳なさそうに笑ってその場を急ぎ足で去って行った。
へぇ、朝香って課題とか前日まで残しとくタイプなんだ。と思っていた一同の所へ、一人の人物が現れる。
「あれ？澤さん達しかいないや」
現れたのは朝香と同級生で二宮隊に所属する犬飼澄晴だった。
その手には数枚の紙がヒラヒラと揺れながら摘まれている。
「朝香ならさっき課題があるって帰ったが」
「えー！！朝香絶対逃げたー」
「「え」」
犬飼の言葉に菊地原と歌川は同時に声を上げ、澤と風間はなるほどなとため息を吐いた。
恐らく犬飼の手にあるそれは朝香の言っていた課題で、先程の短く息を鼻から吸ったのは犬飼の匂いを察知したもので、そして逃げたわけだ。
「やられたな、犬飼」
「薄情だなぁ、朝香ちゃんは」
澤にそう言われた犬飼は拗ねたように口をとがらせるのだった。
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そると(プロフ) - ワールドトリガーの小説の中で1番好きな作品で何度も読ませて頂いてます！新作も面白いので綺世さんの毎度更新楽しみにしてます。 (2022年2月12日 16時) (
レス) id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
みくく - 荒船さんが思ったより出てきて凄い嬉しいです!朝香ちゃん淡々としてますね笑 (2021年7月14日 21時) (レス) id: 173121a55e (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - Noahさん» そう言っていただけて光栄です。作品、拝読させていただきました。勉強になる様な表現が沢山あり、読んでいて楽しかったです！お互い、執筆活動頑張って行きましょう！ (2021年7月9日 17時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すごく好きです…!!作者様のペースで更新たのしみにしてます (2021年7月8日 10時) (レス) id: db354829ef (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - みくくさん» ありがとうございます！こちらこそこれからもご愛読よろしくお願いします！ (2021年7月1日 22時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2021年6月10日 20時
