山猫は描く。【ツイステ】

あのバンド、新曲出したってよ ページ12

ｰ ユウ ｰ

いつも通りに教室に入ると、何故だかスマホを見て話している人が多い気がした。

何だろ？大きなニュースでもあったのだろうか。


「あ、ユウ！はよ」


「おはようユウ」


「おはよう二人とも」


それはこの二人も例外ではないみたいだ。


「随分とスマホ見てる人が多いけど、なんかあったの？」


「ん？あー、みんなこれ見てんだと思うよ」


そう言ってエースがスマホの画面をこちらに向けた。

そこに映されていたのは、イラストだった。

どうやら某有名バンドの新曲のジャケットのようだ。

儚い表情をした女性が描かれた幻想的なジャケットで、暗めのコントラストが印象的。


「凄い綺麗だね……で、これが？」


「えぇ！？ユウ“Lynx”知らねーの！？」


エースにそう言われて少し不愉快になったが、デュースの「流行と芸術とかに疎い僕でも知ってる」と言う言葉に俺が知らないだけなのかもしれないと思った。

どうやら“Lynx”とい人は、最近凄く人気のイラストレーターなんだとか。

人物像は不明という記事ばかりで、何も出てこなかった。

気になってイラストをSNSで調べてみたけど、本当に凄い。

どれもこれも細かな所まで綺麗に、繊細に描かれていて、その世界観はとても幻想的。


「ユウ絵描くのめっちゃ上手いけど、こんな感じで描けんの？？」


「いやこれは……レベルが違う」


「やっぱりこの人凄いんだな……」


最近、A先輩から頂いた画材で絵を描いたのを1年ｽﾞに見せたときにすごく褒められ

俺は絵は上手い方だと思う。

でもこーゆー人の絵には到底及ばない。

そう、現実を突き付けられた気がした。

あ、そう言えばまだ描いた絵をA先輩に見せに行ってない。

今日放課後空いてるかな先輩……

先輩美術部だっけ……確かこの間の持久走の結果見に行った時に「オズワルド先輩って美術部なのに総合三位かよ…」「あの人の能力って計り知れないよな」って会話聞いたし間違いないだろう。

とりあえず、放課後美術室寄っていこう。


「？ユウ？どうしたんだゾ？ボーっとして」


「あぁ、今日帰りちょっと寄り道する事にしたんだけど、グリムどうする？」


「しょうがねー、一緒に行ってやるんだゾ」


「どこ目線？？？」


俺がグリムにそう言ったのとほぼ同時に扉が開き、担任のクルーウェル先生が入ってきた


「子犬共！席につけ！！」


先生の声に、ゾロゾロと皆席に着く。


また今日も、いつも通りの日常が始まる。

向日葵、純粋、少年。→←私、調教師なので。

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