一生は束の間 (ページ5)

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Aside

樹「なんで俺に黙ってたの？」

寂しそうな苦しそうな瞳を私に向ける樹くん

あ「言っちゃったら樹くんとの関係が終わってしまいそうだった」

樹「は、」

あ「私もあと半年で死ぬんだ、なんて言ったらこの関係がなかったことにされてしまいそうで
怖かった、私はずっと真っ当な仕事をして普通に結婚して普通に子供を産んで普通の生活をしたい

でも叶わなくて、だったらいっそのこと死んでしまおうかって思ったときに
樹くんに出会ったの、樹くんに会って私の中でもっと生きたいって思えた

ほんとは死にたくないっ、樹くんと笑って生きていたかった」

言い終わると樹くんは私のことを優しくそれでも強く抱きしめてくれた

樹「なかったことになんかしねえよ、俺はAちゃんのそばにいるよ？
だから、本気にならないでって言ったの？」

あ「そうだよ、本気になったら死ぬのが怖くなるから」

樹「だとしたら俺はもう怖いよ」

あ「え？」

樹「本気で好きになったって言ったらAちゃんは俺の前からいなくなる？」

そう問いかけてくる樹くん

あ「いなくならない、いなくなれないっ、本気で好きになってしまったから
死ぬのが怖いっ、生きたいっ、死にたくないよ」

樹「うん、俺も死にたくないだけどAちゃんがいるなら怖さも和らぐかも
ほんとはもっともっとAちゃんと笑っていたかった

だけど俺らにはそんな時間ないんだよ、だから今を笑って生きよう？
他の人とは違うかもしれないけど俺はAちゃんがいい」

好きだよ、といつもより低く色っぽい声で囁かれる

あ「私も、好きだよ」

見つめ合った視線、吸い込まれるようにキスをした