田中樹を一目惚れさせた女 (ページ26)

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樹side

あ「美味しそう」

食べよ、樹くん？なんて笑う彼女、初めて会ったとき以来じゃないだろうか
彼女が俺のことを樹くんと呼ぶのは

樹「食べよっか、いただきます」

運ばれてきた料理はどれも美味しかった

樹「Aちゃん、口横ついてる」

彼女の口横についていたものを指で拭うと照れたように顔を赤らめる
そんな仕草がいちいちかわいい

あ「お腹いっぱいになったし海に散歩しに行かない？」

樹「俺も言おうと思った」

気が合うね、と笑う彼女と指を絡ませ海まで歩く
海は軽くライトアップされていてきれいだった

ポケットの中にある小さな箱

樹「上手く行きますように」

あ「え？樹くんなんか言った？」

樹「んーん、なんも言ってねえよ、」

あ「そう」

堤防に座りながら今日あったこと未来のことについて話した

樹「今日、楽しかったな」

あ「ねー」

樹「ちゃん付け、君付けここまでな」

あ「なんでよ、結構気に入ってたのに」

樹「んじゃ、君付けでもいいよ？」

なんて言うとやった！と喜ぶ彼女

樹「俺はこれからもAと一緒に笑っていたい
これから先どんなことがあるかわからないけど
Aとなら乗り越えられる気がする

根拠があるわけじゃないしほんとは不安だけど
いつもAはそばにいてくれて
だから俺は頑張れるんだ」

あ「うん？急にどうしたの？」

樹「A、これから先の長い人生俺の苗字になって一緒に歩んでくれませんか？」

そう小さな箱を取り出して中に光るシルバーのリンクを見せる
Aは一筋の涙を流していた