田中樹を一目惚れさせた女 (ページ20)

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Aside

樹の事務所には報道陣がたくさんいた
震えている私の手を樹は握って裏から入った

滝沢「樹と高橋Aさん」

あ「はい、この度はほんとにご迷惑おかけして申し訳ありません」

そうさっきと同じように二人で頭を下げる

滝沢「顔上げて？」

滝沢さんの声はものすごく優しかった

滝沢「まずはおめでとう、俺はうれしい
女遊びが激しかった樹が一人の女性に愛を注ぎ込むことができるのが」

高橋さん、そう呼ばれて身体がこわばったのがわかった

滝沢「俺は辛いときの樹を見てきたし、どこか無理して笑ってた
そんな樹がAさんと出会って心の底から笑っているのを見て
俺も嬉しくなった、これからも樹のこと幸せにしてあげてほしい」

ふと横目に樹を見ると静かに涙を流していた

あ「はい、幸せにします」

失礼しました、と事務所を出た
裏から出てきた私達の姿を捉えた報道陣がこちらへ向かってくる

記者１「今回の報道はホントですか？」
記者２「状況が飲み込めていないファンの方に一言」

二人で頭を下げるも報道陣は追いかけてくる

記者１「答えられないんですか？」

樹「っ、そーですよ、俺とAは付き合ってます」

そう言えばフラッシュがたかれる

記者２「あのですね、今どういう気持ちで言ってるんですか？
ファンの人たちにどれだけ不安にさせたと思ってるんですか？」

あ「っ、」

二人ともなにも言えなくなってしまったときあのっ！と声がした
そこにはスーツに身を包んだSixTONESがいた

慎「俺は別にいいと思いますよ」

ジェ「俺だっていいと思います、誰と恋愛しようが」

髙「なんで幸せを喜べないんですか？」

京「幸せでいれるってすごいんですよ、笑えるって」

記者１「それでも自分の恋愛で仕事をおろそかにするのは」
記者２「ファンに幸せを届けてればいいんですよ」

北「あのですね、あなた達ファンですよね
無理に喜べとは言わないです、でも表にして言うのは違います
今の樹とAの顔見ましたか？

苦しそうだけどあなた達のために明るく見せようとしてる
俺らはAたちの苦しんだ顔見たくないんです

もう自由にさせてあげてください、コイツラは変わらず
ファンに笑顔を届けてくれます

認めてください、お願いします」

そう北斗が律儀に頭を下げた
あとから続くメンバー

樹「っ、たしかに言わなかった俺らにも責任はあります
でも俺はAのことが好きで大切なんです」

そう頭を下げた樹、私も同じように頭を下げた
すると記者たちは気まずそうな顔して帰っていった

その場にしゃがみこんだ私の背中を誰かがさすってくれた