田中樹を一目惚れさせた女 (ページ14)

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溢れる想いページ14

Aside

ピンポーン、部屋のインタホンがなる
そこを覗けば樹がいた

あ「は～い」

玄関を開けるとそのまま抱きしめられる
樹、そう言って離れてもらおうとしても私の力では離すことができない

パタンっとドアが閉じた
鼻をくすぐる匂いは私を支えてくれる

樹「好きだ」

そう紡がれた言葉、急な言葉に動揺が隠せない

あ「じゅり」

そう私が名前を呼ぶと樹は静かに顔を上げた
その瞳は濡れていた、私は思わず樹の唇にキスをした

あ「樹、好きだよ」

溢れる想いは止まらなくて私は玄関だということ
忘れて抱きついた

それでも樹は優しく抱きしめてくれて
好きだよ、そう言ってくれる

樹「A」

ソファーに座っていると樹が私の名を呼ぶ

あ「ん？」

樹「恭平から全部聞いた
俺が告白したのは同情とかそんなのじゃない

Aの笑顔を守りたくて無理してほしくなくて
どんなときも笑っていてほしいって思ったから

だから、俺とちゃんと付き合ってほしい」

あ「うん、私も樹に守ってもらいたい
よろしくお願いします」

そう抱きしめてくれた樹
その身体は暖かくて優しかった

樹「メンバーにも報告しに行こっか」

絡み合った手を見ながらそう言った

あ「ん、」

樹「ねぇ、俺からキスしていい？」

あ「うん、いいよ」

さっきの私のキスとは違い優しくて甘くてとろけるようなキスだった

好きな人の好きな人になれる確率なんて数％なんだ

例えうまく行かなくても好きだから

諦められないから

忘れたいのに忘れたくない

樹

大好きだよ