田中樹を一目惚れさせた女 (ページ11)

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恭平side

朝、ベットでスマホを触っているとインターホンが鳴る
インターホン越しに見ると姉ちゃんがいた

恭平「どないしたん？」

あ「ん？なんとなく」

お邪魔します、と靴を脱いだ姉ちゃんはリビングへと向かっていった
俺らは血の繋がってない姉弟

姉ちゃんの揉み消されたスキャンダルの相手は俺だ
当時、俺と姉ちゃんは付き合っていた

親にも言わずメンバーにも言わず事務所にももちろん言わなかった
言わなかったんじゃない、言えなかった

だって姉ちゃんは樹くんのことがずっと好きなのに
俺がそれでもいい、忘れさせたるから、そう言って付き合った

幸せだった、あんなことが起きるまでは
事の発端は2019年、俺と姉ちゃんが手を繋いで店から出てくる写真が手紙とともにポストに入っていた、その手紙にはこう書かれていた

今すぐ、別れてください
別れないとノースキャンダル女優の名に泥が付きます

次の日、事務所に呼び出された
大事な時期なのになにしてんだって怒られた

姉ちゃんも怒られた、姉ちゃんのせいやないのに
俺のせいやのに、そんな罪悪感が俺を襲った

姉ちゃんは悪くない、俺のせいやずっとそう思っていたのに
姉ちゃんは俺を責めることなくこう言ってくれたんだ

あ「恭平のせいやない、大丈夫やから
ちゃんと私がそばにおるから」

そう優しく抱きしめてくれた姉ちゃん
でも俺はその手を振りはらったんだ

恭平「なんでっ、！俺のせいやないって言えるん、？
大丈夫やないやんっ、姉ちゃんにも迷惑かかるっ

俺のわがままのせいでっ、もう迷惑かけたくないねん
姉ちゃんのことが本気で好きやからっ

やからっ、もう関わらんといてっ」

あ「っ、」

後ろで静かに荷物をまとめる音がする

あ「恭平、ありがとね
好きだったよ、バイバイ」

好き、なんて思ってもないことを最後に言ってくれたことに
また涙が溢れた

そして事務所によってこのスキャンダルは揉み消された